WBA世界バンタム級タイトルマッチ

アンセルモ・モレノ対デビッド･デラモラの試合内容

4年間で世界タイトルを9度防衛しているアンセルモ・モレノが世界タイトル2度目の挑戦となるデビッド・デラモラを迎えて10度目の防衛戦を行います。抜群のテクニックを誇るサウスポーのアンセルモ・モレノとパワフルな攻撃が持ち味のデビッド・デラモラの対決ですね。

テクニック対パワーの激突。対戦相手にパンチを当てさせない卓越したディフェンスと華麗なステップワークを誇るアンセルモ・モレノが二桁防衛を成し遂げるのでしょうか？それとも、デビッド・デラモラが亀田興毅選手に僅差の判定負けを喫した屈辱を振り払うのでしょうか？戦いの幕開けを告げるゴングが鳴り響きます。

試合は、チャンピオンのアンセルモ・モレノが右ジャブを突きながらジワリジワリとプレッシャーをかけ、積極的に左ストレートを狙う展開で始まります。序盤は対戦相手の戦力を分析することが多いアンセルモ・モレノですが、この試合はいつもより攻撃的ですね。

【Photo:The Ring Magazine】

一方、挑戦者のデビッド・デラモラは左ジャブから右ストレート、左右のフックにつなげようとしています。しかし、パンチを打ち込もうとすると、サウスポーのアンセルモ・モレノが右に回ってデビッド・デラモラの攻撃をヒラリとかわすので、自慢の強打が空を切る場面が目立ちます。

2ラウンドに入ると、アンセルモ・モレノがさらにプレッシャーを強めます。2ラウンド中盤には、アンセルモ・モレノがデビッド・デラモラをロープへ詰めて強烈なボディーブロー！デビッド・デラモラの体が「くの字」に曲がります。デビッド・デラモラは明らかにボディーブローを嫌がっていますね。

2ラウンド終盤には、アンセルモ・モレノがデビッド・デラモラをコーナーへ詰めて、パンチを連打！左ストレートと右フックを上下に打ち分けた後、右フックをテンプルへ当て、デビッド・デラモラからダウンを奪います。

【Photo:The Ring Magazine】

3ラウンドに入ると、ダウンを奪われたデビッド・デラモラが勝負を仕掛けます。ダメージが蓄積する前に勝負に出たデビッド・デラモラはパンチを振り回しながら、アンセルモ・モレノにプレッシャーをかけます。

3ラウンド残り30秒、デビッド・デラモラがアンセルモ・モレノをロープへ詰めて、パンチを連打！右ストレートがアンセルモ・モレノをとらえ、アンセルモ・モレノがダウンしますが、レフェリーの判断はスリップダウン。ノックダウンと判断してもおかなくない微妙なダウンでした。

4ラウンドに入ると、再びアンセルモ・モレノがプレッシャーをかけ、デビッド・デラモラを後退させる展開が続きます。一方のデビッド・デラモラは手数を増やして反撃。アンセルモ・モレノが主導権を握っていますが、デビッド・デラモラも必死に食らいついていますね。

【Photo:The Ring Magazine】

5ラウンド以降は、アンセルモ・モレノが華麗なステップワークでデビッド・デラモラの反撃を封じ込め、パンチを上下に打ち分ける展開が続きます。ディフェンスの技術とクリーンヒットを奪った数は一枚も二枚もアンセルモ・モレノが上手ですね。

試合はラウンドが進むにつれて、チャンピオンのアンセルモ・モレノが支配する展開が続き、迎えた8ラウンド。挑戦者のデビッド・デラモラが最後の力を振り絞って攻撃に転じます。上下にパンチを打ち分けながら、手数でアンセルモ・モレノを後退させようと突進します。

しかし、チャンピオンのアンセルモ・モレノはステップワークを駆使してデビッド・デラモラの強打を空振りさせ、逆に鋭い連打をお返し。勝負に出たデビッド・デラモラでしたが、主導権を奪い返すことができません。

「デラモラは勝負に出たんだけどな。いよいよ苦しくなってきたよ」と思っていると、8ラウンド終了後、デビッド・デラモラ陣営が棄権。アンセルモ・モレノがデビッド・デラモラに8ラウンド終了TKO勝ちを飾り、10度目の防衛に成功しました。

アンセルモ・モレノのテクニックがデビッド・デラモラのパワフルな攻撃を完全に封じ込めた試合でしたね。抜群のテクニックを誇るアンセルモ・モレノが、2度目の世界挑戦で悲願のタイトル奪取を狙ったデビッド・デラモラを一蹴した内容だったと思います。

華麗なステップワークでポジションを変えながら危険を回避するアンセルモ・モレノのディフェンスは芸術の域に達していますね。パンチを当てることが最も難しいボクサーのひとりだと思います。10度目の防衛を飾ったアンセルモ・モレノのテクニックを堪能できる試合でした。

アンセルモ・モレノ対デビッド･デラモラの試合結果