フリオ・セサール・チャベス・ジュニア対セルヒオ・マルチネスの試合内容(後編)
待望の新旧スター対決!チャベス・ジュニア対セルヒオ・マルチネス(前編)を読む
8ラウンド以降は、ポイントでリードしているセルヒオ・マルチネスが、ポイントを挽回しようと必死に前へ出るフリオ・セサール・チャベス・ジュニアに鋭いパンチを叩き込む展開が続きます。
「チャベス・ジュニアはマルチネスにパンチを打たれては左右に逃げられる最も厄介な展開になってきたなあ。いきなりの右ストレートやロングの左フックを織り交ぜながら、何とか突破口を見つけたいよ」とフリオ・セサール・チャベス・ジュニアの反撃に期待する管理人。
11ラウンド中盤、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアの右ストレートがセルヒオ・マルチネスの顔面をとらえ、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアがセルヒオ・マルチネスをロープに詰めてパンチを連打します。
しかし、セルヒオ・マルチネスがコンパクトな連打を上下に打ち分けて、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアをリング中央へ押し返します。フリオ・セサール・チャベス・ジュニアが連打で押し込まれるシーンを久しぶりに観ました。
「マルチネス、すげえ!試合終盤でチャベス・ジュニアを下がらせることができるなんて、信じられないなあ」と「驚異の男」に脱帽。この時点で、管理人はセルヒオ・マルチネスの勝利を確信していました。ところが、最終ラウンドに「まさかのドラマ」が待っていたんです!
12ラウンドが始まると、鋭い右ジャブを突きながら、主導権を握ろうとするセルヒオ・マルチネス。逆転KOを狙ってくるフリオ・セサール・チャベス・ジュニアの出鼻をくじくところは、さすがベテランですね。
「このままマルチネスが逃げ切りそうだなあ」と思い始めた12ラウンド1分すぎ。フリオ・セサール・チャベス・ジュニアの右ストレートがセルヒオ・マルチネスの顔面をとらえ、セルヒオ・マルチネスの腰が一瞬落ちます。
【Photo:The Ring Magazine】
「あ、効いた!」と思った瞬間、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアが左右のフックを連打して追撃。ダメージを負ったセルヒオ・マルチネスは、コンパクトなパンチを連打してピンチを脱出しようとします。
大逆転を狙うフリオ・セサール・チャベス・ジュニアはセルヒオ・マルチネスをロープに詰めて強烈な左フックを連打!「驚異の男」セルヒオ・マルチネスが一回転しながら、リングに転げ落ちます。
【Photo:The Ring Magazine】
「うぎゃ!めちゃめちゃ効いてる。マルチネス、立てるかな?チャベス・ジュニアの大逆転だよ」と信じられないドラマに狂喜乱舞の管理人。セルヒオ・マルチネスはフラフラになりながら、何とか立ち上がりますが、ダメージはめっちゃ深いですね。
パンチを振り回して、大逆転を狙うフリオ・セサール・チャベス・ジュニア。フラフラになりながら限界ギリギリで耐え抜くセルヒオ・マルチネス。ボクシングの歴史に残る大逆転の瞬間を迎えようとしています。
ところが、打ち疲れとダメージの蓄積の影響で、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアが失速!大振りのパンチを出すことが精一杯で「押せば倒れそうなセルヒオ・マルチネス」にパンチを当てることができません。
【Photo:The Ring Magazine】
逆に、セルヒオ・マルチネスは体を支えることが精一杯の状況で、コンパクトなパンチを出して、最大のピンチを脱出します。「苦しいときこそ、練習で積み重ねてきたことが出る」とよく言われますが、ボクシングスタイルの差が出ちゃいましたね。
試合は、必死にパンチを出して踏ん張るセルヒオ・マルチネスがフリオ・セサール・チャベス・ジュニアの反撃に耐え抜き、12ラウンド終了のゴング。勝敗は3人のジャッジに委ねられます。
結果は3人のジャッジすべてが大差でセルヒオ・マルチネスを支持。世界中のボクシングファンが待ちわびた新旧スーパースター対決は、セルヒオ・マルチネスが大ピンチに陥りながらもフリオ・セサール・チャベス・ジュニアに12ラウンド判定勝ちを飾り、世界タイトルを獲得しました。
【Photo:The Ring Magazine】
最後の最後で、とんでもないドラマが待っていましたね!テレビの前で「うぎゃ、危ない!うわっ!」と連発しながら、大興奮で夢の新旧対決を観戦しちゃいました。壮絶な最終ラウンドを観戦し、激しく魂が抜けた感覚です。
ボクシングの歴史に残る12ラウンド、ボクシングの歴史に残る「大逆転まで、あと一発」でしたね。ダウンしたセルヒオ・マルチネスのダメージを目の当たりにした瞬間、「チャベス・ジュニア、逆転できるよ」と確信したボクシングファンも多いのではないでしょうか?
もし最終ラウンドがなかったら、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアはメキシコのボクシングファンが最も嫌う「パンチを出さず、何もできなかったボクサー」の烙印を押されていたと思います。
ところが、最終ラウンドのおかげで、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアの評価は暴落することなく、再戦を待望する声へつながる可能性が高くなりました。勝負の世界は最後の最後まで何が起こるか、本当にわからないですね。
大熱戦の末、プロ初黒星を喫したフリオ・セサール・チャベス・ジュニアは試合後に「マルチネスは強いハートを持っているね。でも、再戦すれば、必ずKOできるよ」と再戦を希望するコメントを発表しています。
ただ、勝ったセルヒオ・マルチネスが、12ラウンドにダウンをしたときにヒザを痛めたようで、精密検査の結果しだいでは手術が必要になる可能性もあるそうです。いずれにしても、再戦はしばらくお預けとなりそうですね。
世界中のボクシングファンが待ち望んだ「ミドル級最強決定戦」。勝ったセルヒオ・マルチネスにとっても、敗れたフリオ・セサール・チャベス・ジュニアにとっても「生き残った」試合になりましたね。めちゃめちゃドラマチックな最終ラウンドだったなあ。
フリオ・セサール・チャベス・ジュニア対セルヒオ・マルチネスの試合結果
試合結果 | セルヒオ・マルチネスが12ラウンド3-0の判定勝ちでタイトル奪取に成功。敗れたフリオ・セサール・チャベス・ジュニアはプロ初黒星。 【公式ジャッジの採点結果】
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