覇権の行方は?アミール・カーン対ダニー・ガルシアの王座統一戦(前編)を読む
ダウンを奪ったダニー・ガルシアは一気に勝負を決めるため、ダメージの深いアミール・カーンに襲いかかります。ガードを固めて必死に耐えるアミール・カーン。ダニー・ガルシアの猛攻が10秒続き、3ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。
「カーンはギリギリの状態でよく耐えたね。ダメージはめちゃめちゃ深そうだけど、1分のインターバルでどれだけ回復できるかな?ガルシアのボクシングと性格を考えると、次のラウンドで仕留めに来るはずだよ」と4ラウンドの立ち上がりに注目する管理人。
4ラウンドが始まると、ダニー・ガルシアが強烈な右ストレートと左右のフックを連打しながら、アミール・カーンに襲いかかります。フットワークを使って避けようとするアミール・カーンですが、開始直後にパンチをもらってグローブがリングに触れ、2度目のダウンを奪われてしまいます。
【Photo:The Ring Magazine】
2度目のダウンから立ち上がったアミール・カーンは、ダニー・ガルシアの攻撃を止めるため、意を決して打ち合いで勝負。どちらも足を止めて、思い切りパンチを打ち込んでいます。
「カーンのパンチも当たってるよ。さすがのガルシアも打ち疲れたかな?少し動きが鈍ってきたね。このラウンドを耐え切れたら、カーンにチャンスが巡ってくるかもしれないなあ」と思っていると、4ラウンド残り50秒、ダニー・ガルシアの左フックがアミール・カーンのテンプルをとらえ、3度目のダウンを奪います。
【Photo:The Ring Magazine】
「さすがに限界だよ。カーンはかすっただけで倒れちゃうもん。これ以上は無理じゃないかな?」とアミール・カーンのダメージを心配する管理人。ダウンしたアミール・カーンは執念で立ち上がり、試合続行の意欲を示しますが、レフェリーが試合をストップ!
この瞬間、下馬評で不利と予想されていたダニー・ガルシアが再起を目指すアミール・カーンを4ラウンドTKOで撃破し、王座統一に成功。2本のベルトと同時に、最激戦区スーパーライト級の主役の座を手に入れました。
【Photo:The Ring Magazine】
運命のいたずらが導いた王座決定戦は、衝撃の結末で幕を閉じましたね。この結果は全く予想していなかったので、言葉を失ってしまいました。ダニー・ガルシアのパワフルで粘り強いボクシングが、アミール・カーンの教科書のようなボクシングを粉砕した試合だったと思います。
ダニー・ガルシアを応援しているファンの皆さんには大変申し訳ないのですが、正直なところ、ダニー・ガルシアとアミール・カーンのボクシングの相性を考えると「10回戦えば、7回はカーンが勝つよね」と思っていました。
圧倒的なスピードを誇るアミール・カーンにとって、ダニー・ガルシアは決して戦いにくい相手ではないと思うんです。ところが、蓋を開けてみると、ダニー・ガルシアが合計3度のダウンを奪って、圧倒的な勝利で存在感をアピールした試合でした。
劇的な勝利で王座を統一したダニー・ガルシアは、スーパーライト級の覇権を握ることに成功しましたね。王座を奪取したエリック・モラレス戦と今回のアミール・カーン戦のわずか2試合で一気にスターダムへ駆け上がり、主役の座をつかみ取りました。
一方、4ラウンドTKO負けでリングに沈んだアミール・カーンにとっては屈辱の再起戦になりました。手痛い連敗で、評価が下がったことは否めませんが、実力は誰もが認めるところなので、速射砲のような左ジャブから組み立てるボクシングに立ち戻って、焦らずコンディションを整えながら再起を目指してほしいですね。
「ボクシングって本当に難しいスポーツだなあ」と改めて教えてくれた王座決定戦。一躍スーパーライト級の主役へ躍り出たダニー・ガルシアとガックリと肩を落とすアミール・カーンの対照的な姿がとても印象的でした。明暗がくっきりと分かれちゃいましたね。
ダニー・ガルシア対アミール・カーンの試合結果
試合結果 | ダニー・ガルシアが4ラウンドTKO勝ちで王座統一に成功。敗れたアミール・カーンは屈辱の敗戦で初の2連敗となりました。 |