ポール・マリナッジ対エイドリアン・ブローナーの試合内容(後編)
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ラウンドが進むにつれて、スピードが鈍ってきたチャンピオンのポール・マリナッジに対して、挑戦者のエイドリアン・ブローナーがパンチを叩き込む場面が増えてきたWBA世界ウェルター級タイトルマッチ。両者のスタミナとパワーの違いが顕著になり始めてきましたね。
エイドリアン・ブローナーがポール・マリナッジにプレッシャーをかける展開が続き、迎えた9ラウンド開始直後。リングサイドで試合を観戦するフロイド・メイウェザーが立ち上がって声をかけると、エイドリアン・ブローナーがフロイド・メイウェザーに拳を突き出してアピールします。
「なんじゃ、そりゃ!良し悪しは別にして、とんでもないパフォーマンスだなあ」と思わず笑ってしまう管理人。試合を中継する「Showtime」のリポーターのジム・グレイがフロイド・メイウェザーの隣に座った直後、フロイド・メイウェザーがリングに向かって何かを叫んだようです。
【Photo:Showtime】
フロイド・メイウェザーとしては、テレビ向けのパフォーマンスだったと思うのですが、エイドリアン・ブローナーがまさかのリアクションですね。フロイド・メイウェザーを崇拝しているエイドリアン・ブローナー。ポール・マリナッジと向き合いながらも、フロイド・メイウェザーの声が聞こえているようです。
フロイド・メイウェザーの激励に奮起したエイドリアン・ブローナーは、9ラウンド終了間際、一段ギアを上げ、強烈なフックを上下に打ち分けます。「うそっ!試合終盤でまだギア上がるんだ。ボクシングに躍動感が出ると、信じられない速さが生まれるね」と改めてエイドリアン・ブローナーの潜在能力に驚く管理人。
試合は、プレッシャーをかけながら力強いパンチを上下に打ち分けるエイドリアン・ブローナーに対して、ポール・マリナッジが回転の速い連打で応戦する展開が続きます。ポール・マリナッジはスタミナが切れて、めっちゃ苦しい状態だと思うのですが、歯を食いしばって戦っていますね。
【Photo:Showtime】
終盤は、エイドリアン・ブローナーがポール・マリナッジをパンチでロープへ押し込み、ポール・マリナッジが必死に応戦する展開が続き、試合終了のゴングが鳴り響きます。試合前から舌戦を繰り広げていた因縁の新旧スピードスター対決の勝敗は3人のジャッジに委ねられます。
採点の結果、2人がエイドリアン・ブローナー、1人がポール・マリナッジを支持。全勝の快進撃を続けるエイドリアン・ブローナーがポール・マリナッジのマジックを封じ込め、3階級制覇を達成しました。
飛び級でウェルター級に初参戦したエイドリアン・ブローナーが、パワフルなパンチでポール・マリナッジを押し切った試合でしたね。個人的に「ブローナーが4ポイントはリードしているんじゃないかな?」と思っていたので、予想外のスプリット・デシジョンでした。
【Photo:Showtime】
試合後、ポール・マリナッジがインタビューを受けているエイドリアン・ブローナーに噛みついたことで、再び激しい舌戦が展開され、一触即発の事態になった両雄。最初から最後まで負けん気の強い2人がぶつかり合った新旧スピードスター対決でした。
試合後に「マリナッジがインタビューで語った圧力って何のこと?」とたくさんのメールをいただいたので、後日、活字にできる範囲でまとめてみたいと思います。ポール・マリナッジは「将来予定されているマッチメイクが結果に影響した」と言いたかったんですね。
盤石の試合運びで3本目のベルトを手にしたエイドリアン・ブローナー。初参戦を果たした階級でポール・マリナッジを支配した「新世代の天才」のポテンシャルに「まだまだ底が見えないよ」と驚いた3階級制覇でした。後味が悪かったことだけが残念だったなあ。
ポール・マリナッジ対エイドリアン・ブローナーの試合結果
試合結果 | エイドリアン・ブローナーが12ラウンド判定勝ち。3階級制覇に成功しました。 【公式ジャッジの採点結果】
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