オースティン・トラウト対サウル・アルバレスの試合内容(後編)
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鋭い右ストレートを打ち込み、ダウンを奪ったサウル・アルバレス。しかし、ダウンを奪われたオースティン・トラウトがダメージを抱えながらも手数を増やして、耐え抜きます。8ラウンドに入ると、サウル・アルバレスの手数が一気に減り、オースティン・トラウトがポイントを奪い返します。
「あれ?カネロが一気に失速しちゃったね。スタミナを使って主導権を奪いに行った影響とボディのダメージがあるのかな?ダウンを奪われたトラウトだけど、終盤で盛り返すことができればポイントで追いつける可能性もあるよ」とオースティン・トラウトのボクシングに注目する管理人。
【Photo:Showtime】
10ラウンドに入ると、オースティン・トラウトが攻撃姿勢を強め、自分から積極的に前へ出てパンチを打ち込みます。一方のサウル・アルバレスは力強いパンチで応戦。単発ですが、右アッパーを中心にクリーンヒットしています。
終盤は、オースティン・トラウトがポイントを奪い返すため必死に前進を続け、スタミナが切れてきたサウル・アルバレスがフットワークを使いながら距離を保ち、反撃する展開が続きます。前半と全く逆の光景が目の前に広がっています。
オースティン・トラウトがサウル・アルバレスをロープに追い込んで、パンチを集めますが、サウル・アルバレスが回り込んでクリーンヒットを許さない展開が続き、試合終了のゴング。勝敗は3人のジャッジに委ねられます。
結果は、3人のジャッジすべてがサウル・アルバレスを支持。無敗チャンピオンのサウル・アルバレスが全勝チャンピオンのオースティン・トラウトに12ラウンド判定勝ちを飾り、王座統一に成功しました。敗れたオースティン・トラウトは無念のプロ初黒星で王座陥落です。
【Photo:Showtime】
若きスーパースターのサウル・アルバレスが頭脳的なボクシングでテクニシャンのオースティン・トラウトを粉砕しましたね。ボクシングの駆け引きが詰まった12ラウンドに大興奮しちゃいました。勝ったサウル・アルバレスはもちろん、敗れたオースティン・トラウトにも大きな拍手を送りたいです!
試合前「トラウトの右ジャブがカネロのリズムを狂わせて、カネロが空回る可能性もあるんじゃないかな?」と思っていました。でも、結果は、サウル・アルバレスが進化した姿を披露し、オースティン・トラウトを封じ込めた「ノーダウト」な内容でした。
個人的に最も印象に残ったサウル・アルバレスのテクニックは、序盤に見せたボディワークです。上半身を振り続け、頭の位置を小刻みに変えることで、オースティン・トラウトのパンチを外して、そのまま攻撃へつなげる姿に「すげえ!」を連発してしまいました。
本来のサウル・アルバレスはガードの上を打たせながら距離を詰めるタイプです。でも、ガードの上を打たせると、どうしてもワンテンポ攻撃が遅れてしまうので、パンチを打つ前にオースティン・トラウトを逃がしてしまう確率が高くなります。
【Photo:Showtime】
試合前、ガードの上を打たせて距離を詰めるサウル・アルバレスのスタイルから生じる「ワンテンポの差」が「トラウトがカネロに勝つかも」と予想した最大の理由でした。オースティン・トラウトのような懐が深くて、しかも、めっちゃタフなテクニシャンに対して、相性が良くないと思っていたからです。
ところが、試合が進むにつれて、サウル・アルバレスはオースティン・トラウトのパンチを目で見切り、そのまま攻撃へつなげていました。しかも、オースティン・トラウトのクリーンヒットをほとんどもらっていないんです。終盤こそ失速してしまいましたが、オースティン・トラウトでなければ終わっていても、おかしくない内容でした。
サウル・アルバレスには、ミゲール・コットと戦う選択肢がありました。でも、オースティン・トラウトを選び、勝利を手にしました。サウル・アルバレスがオースティン・トラウト戦で手にした経験がフロイド・メイウェザーと対戦するときの大きな財産になる気がしてなりません。
誇り高き2人の無敗チャンピオンが激突した王座統一戦。ボクシング界の未来図を塗り替えるべく挑戦を続けるサウル・アルバレスのプライド、最後まで勝利を目指して戦い抜いたオースティン・トラウトのプライドに胸を打たれた名勝負でした。
将来、サウル・アルバレスの功績を振り返ったとき、頂点へ向けて本格的な第一歩を踏み出した分岐点になるかもしれませんね。ボクシング新時代の幕開けまで、あと一歩。ラストステージで待ち受けるボクサーは王様のイスに座り続ける「パウンド・フォー・パウンド・キング」フロイド・メイウェザーです!2013年に世代交代の扉が開くかな?
オースティン・トラウト対サウル・アルバレスの試合結果
試合結果 | サウル・アルバレスが12ラウンド判定勝ち。激闘の末、王座統一に成功しました。 【公式ジャッジの採点結果】
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