手数とタイミングを兼ね備えた粘り強いボクシングで頂点を手にした兄弟ボクサー
アメリカ出身のレイモント・ピーターソンは、手数と負けん気の強さを武器に、頂点にのぼり詰めたボクサーです。弟のアンソニー・ピーターソンもプロボクサーで「兄弟で世界チャンピオンになることが夢」と語っている兄弟ボクサーですね。
レイモント・ピーターソンの試合を初めて観戦した感想は「一撃で倒すタイプじゃない気がするけど、連打もカウンターもOKのまとまりのあるボクサーだなあ。ブロッキングも強固で、スタミナもありそうだね」でした。
簡単に言うと、基本に忠実な粘り強いボクサーだと思います。左ジャブから右ストレート、左右のフックを上下に打ち分け、ストップを呼び込むボクシングを得意としています。パンチ力で仕留めるタイプではなく、手数で圧倒するタイプですね。
中間距離で戦ったり、接近戦で戦ったり、対戦相手によって戦法を変えることができます。めちゃめちゃ器用なタイプではないと思うのですが、鉄壁のガードと負けん気の強さで簡単に主導権を渡さず、とにかくパンチを出して勝利を引き寄せる強さが魅力ですね。
アメリカのテレビ番組の特集を観たことがあるのですが、レイモント・ピーターソンとアンソニー・ピーターソンは、小さい頃にお父さんが刑務所に入り、お母さんもトラブルを抱えていたので、両親がいない状態で生活しなければならず、ものすごく苦労したそうです。
管理人は、レイモント・ピーターソンを天才肌のボクサーではなく、典型的な努力型のボクサーに分類しています。ただ、努力の量が「典型的」じゃなくて「並外れている」と思うんです。
パンチの破壊力やスピードに代表される「天性の武器」で戦うボクサーではなく「練習で積み上げた武器」で戦うボクサーで、応援したくなるタイプなんですよ。持ち味の粘り強さは、幼少期の辛い経験が原動力になっているのかもしれませんね。
ボクシングで生活することを誓ったレイモント・ピーターソンは2004年9月にプロデビュー。ニコラス・ディーンに1ラウンドわずか22秒のTKO勝ちを飾り、華々しい初勝利を手にします。
理想的なプロデビューを飾ったレイモント・ピーターソンは破竹の快進撃を続け、26連勝を記録して迎えた2009年4月。WBO世界スーパーライト級の暫定タイトルをかけて、フランスのウィリー・ブランと対戦します。
結果は、レイモント・ピーターソンの7ラウンドTKO勝ち。貧しい幼少期を乗り越え、ボクシングの世界で生きることを選んだレイモント・ピーターソンが勝ち取った大きな大きな勲章でした。
暫定タイトルを奪取したレイモント・ピーターソンは2009年12月、王座統一をかけてチャンピオンのティモシー・ブラッドリーと激突。しかし、結果は、12ラウンド大差の判定負け。ティモシー・ブラッドリーのスピードにかき回された悔しいプロ初黒星でした。
タイトル奪還を目指すレイモント・ピーターソンは2010年4月の再起戦で7ラウンドTKO勝ちを飾り、復活をアピール。2010年12月、世界タイトル戦線の生き残りをかけて、ビクター・オルティスと対戦します。
結果は激闘の末、10ラウンド引き分け。2度のダウンを奪われたレイモント・ピーターソンですが、持ち前の粘り強いボクシングで盛り返し、引き分けに持ち込みました。負け試合を引き分けに変えた印象的な試合でした。
世界タイトル戦線に生き残ったレイモント・ピーターソンは2011年12月、WBAとIBFの2つのタイトルを持つアミール・カーンに挑戦します。結果は、レイモント・ピーターソンの12ラウンド判定勝ち。下馬評を覆す番狂わせで、再び世界タイトルを手にしました。
復権に成功したレイモント・ピーターソンはアミール・カーンと再戦することになっていましたが、薬物テストで陽性となり、長期離脱することになります。レイモント・ピーターソン本人が「ボクシング人生で最も辛い時期」と語った日々でした。
1年2か月のブランクを経て、2013年2月、レイモント・ピーターソンはリングに復帰。ケンドール・ホルトに8ラウンドTKO勝ちを飾り、IBFタイトルの初防衛に成功します。試合後の笑顔がめちゃめちゃ印象的な復帰戦でした。
復帰戦に勝利したレイモント・ピーターソンは2013年5月、強打のルーカス・マティセとノンタイトルマッチで激突。さらなるビッグマッチ進出をかけたチャンピオン対決でしたが、結果は無念の3ラウンドTKO負け。ルーカス・マティセの強打に沈んでしまった悔しい完敗でした。
ルーカス・マティセ戦で完敗を喫したレイモント・ピーターソンですが、スーパーライト級を1ポンド上回るキャッチウエイトの試合だったので、タイトルを手放すことなく、2014年1月、全勝のディエリー・ジャンを迎えた2度目の防衛戦を行います。結果は、12ラウンド判定勝ち。試合運びのうまさを見せつけて再起戦に快勝し、復活をアピールしました。
復活の勝利を飾ったレイモント・ピーターソンは2014年8月、3度目の防衛戦でエドガル・サンタナと対戦します。結果は、10ラウンドTKO勝ち。ボディブローを中心に組み立て、粘るエドガル・サンタナに少しずつダメージを与え、終盤に倒し切った理想的な防衛戦でした。
ビッグマッチを切望するレイモント・ピーターソンは2015年4月にWBA・WBC世界スーパーライト級チャンピオンのダニー・ガルシアと143ポンド契約のキャッチウエイトで対戦します。結果は、レイモント・ピーターソンの12ラウンド判定負け。アウトボクシングからインファイトに切り替え、後半盛り返したレイモント・ピーターソンですが、あと一歩届かず、悔しい敗戦となりました。
過酷な幼少期を乗り越え、世界の挑戦を手にしたレイモント・ピーターソン。絶対にあきらめない粘り強いボクシングとハートの強さで、さらなるビッグマッチを引き寄せることができるでしょうか?弟のアンソニー・ピーターソンと兄弟チャンピオンの夢を実現してほしいなあ。
レイモント・ピーターソンのプロフィール
誕生日 | 1984年1月24日 |
戦績 | 37戦33勝17KO3敗1分 |
獲得タイトル |
|
関連リンク | レイモント・ピーターソンの関連ニュースと試合観戦レビュー |