鋭いステップインと強烈な右フックで運命を切り開いた攻撃的なサウスポー
アメリカ出身のビクター・オルティスは、鋭いステップインと強烈な右フックを誇る攻撃的なサウスポーです。元々は右利きのボクサー。サウスポーの特徴を生かすボクシングというより、得意とする右フックを当てるためのボクシングを貫く姿勢に強いこだわりを感じます。
ビクター・オルティスのボクシングは極めて正攻法です。右ジャブを突いて頭を振りながら対戦相手の懐へ飛び込み、鋭い左ストレートから返しの右フックを狙います。このコンビネーションがビクター・オルティスのボクシングの生命線ですね。
ビクター・オルティスの攻撃を支えている武器が鋭いステップイン。リズムを刻みながらガードを上げて構え、対戦相手のパンチの戻り際に合わせて懐へ一気に踏み込みます。リズムを大事にフットワークを生かして戦っている時のビクター・オルティスは「さあ、仕掛けるよ」と常に対戦相手にプレッシャーをかけることができるので脅威ですね。
幼い頃、母親が蒸発し、父親の暴力に耐えながら育ったビクター・オルティスは、不遇の時代を乗り越えるため、ボクシングの世界に身を置き、より良い生活を求めて練習を続けます。そして、2004年6月にプロデビュー。ビクター・オルティスが自らの拳で新しい生活の一歩を踏み出した瞬間でした。
デビューから7連勝を飾り、前評判通りの活躍を続けたビクター・オルティスですが、プロ8戦目のコーリー・アラーコン戦でブレイク後に放ったパンチが反則打となり、1ラウンド反則負けでプロ初黒星を喫してしまいます。ダウンを奪い、一気に試合を決めようとしたビクター・オルティスの焦り、若さが生んだ初黒星でした。
プロ初黒星を喫したビクター・オルティスですが、その後、4年で17の勝ち星を積み重ね、2009年7月、初めて世界タイトル奪取のチャンスを手にします。対戦相手は「アルゼンチンの倒し屋」マルコス・マイダナ。試合は1ラウンドからダウン応酬の壮絶な死闘となります。
悲願の世界タイトル獲得を目指してマルコス・マイダナに真っ向勝負を挑んだビクター・オルティスですが、結果はマルコス・マイダナの強打を浴び、6ラウンド逆転TKO負けでタイトル奪取に失敗。持ち味を発揮して先にダウンを奪ったビクター・オルティスでしたが、勝負を決め切ることができず、紙一重の内容で敗れ去ったほろ苦い世界タイトルマッチでした。
再び世界タイトル奪取へ向けて立ち上がったビクター・オルティスは5か月後にリングへ戻ってきます。アントニオ・ディアスに6ラウンド終了TKO勝ちで再起を果たすと、その後も連勝を重ね、2010年5月には元3団体統一世界ライト級チャンピオンのネート・キャンベルと対戦。大差の判定勝ちで健在ぶりをアピールします。
2010年9月には元WBA世界スーパーライト級チャンピオンのビビアン・ハリスに3ラウンドKO勝ち、2010年12月には元WBO暫定世界ライト級チャンピオンのレイモント・ピーターソンにドローで経験を積み重ね、2011年4月、ウェルター級に階級を上げて2度目の世界タイトル挑戦のチャンスを手にします。
待ち受けるチャンピオンは全勝のアンドレ・ベルト。「チャンピオン有利」と予想された試合でしたが、ダウン応酬の末、ビクター・オルティスが12ラウンド判定勝ちを収め、悲願の世界タイトル奪取に成功。「次世代のスーパースター対決」に勝利したビクター・オルティスが涙を浮かべながらチャンピオンベルトを手にした姿が印象的でした。
少年時代から思い描き続けた夢を実現し、新しい一歩を踏み出した「次世代のスーパースター」ビクター・オルティスですが、2011年9月にセットアップされた初防衛戦で途轍もなく大きな壁が立ちふさがります。
初防衛戦の相手は「時空を超越するスピードスター」フロイド・メイウェザー。ビクター・オルティスは闘志をむき出しにして5階級制覇の実績を誇る「最速のスーパースター」に真っ向勝負を挑みますが、結果はビクター・オルティスの4ラウンドKO負け。夢に描き続けたチャンピオンベルトがわずか5か月で手元から離れた瞬間でした。
逆境に打ち勝ち、自らの拳で運命を切り開いてきたビクター・オルティス。不遇の少年時代を過ごした好戦的なサウスポーは敗戦を糧に再び進化を続け、ボクシング界の中心へ歩みを進めることができるでしょうか?「敗戦のたびに強くなる次世代のスーパースター」に今後も注目ですね。
ビクター・オルティスのプロフィール
| 本名 | ビクター・オルティス |
| ニックネーム | Vicious(獰猛な、素晴らしい) |
| 誕生日 | 1987年1月31日 |
| 戦績 | 34戦29勝22KO3敗2分 |
| 獲得タイトル |
|
