パワフルなパンチと緻密なテクニックが融合した「アルゼンチンの破壊王」

アルゼンチン出身のルーカス・マティセは、対戦相手をねじ伏せる強烈な連打と世界屈指のスタミナを兼ね備えた超アグレッシブなボクサーです。セルヒオ・マルチネス、マルコス・マイダナと並ぶ「アルゼンチンの三銃士」ですね。

ルーカス・マティセの魅力は、何と言っても、攻撃的なボクシング。手数が多く、しかも、打つパンチのすべてが強烈なので、対戦相手はたまったもんじゃありません。いろいろな角度からパンチを打てる足腰の強さも大きな特徴ですね。

一見すると、ブンブン振り回るタイプに見えるのですが、実は、テクニシャンで「どうやって効果的なパンチを当て、相手を倒すことができるのか」をめっちゃ心得ているボクサーです。

ボクシングの基本が、すごくしっかりしていて、左ジャブから試合を組み立てることができます。しかも、左ジャブが強いんですよ。力強い左ジャブで相手のブロックを崩し、右ストレート、左右のフックを叩き込む攻撃がめっちゃスムーズなんです。

さらに、カウンターも超一級品。個人的に、カウンターのうまさこそ、ルーカス・マティセが恐れられる大きな理由だと思います。フィニッシュのとき、ガムシャラに攻めるだけでなく、冷静に仕留めることもできるんです。

スタミナも豊富で、12ラウンド強打を打ち続けることができます。また、試合中にスタミナやダメージを回復する方法を心得ている回復力に優れたボクサーです。タフで打たれても強いファイターですが、攻撃するだけじゃなく、スタミナやダメージと相談しながら戦えるクレバーなタイプですね。

強打とテクニックを兼ね備えたルーカス・マティセは2004年6月にプロデビュー。2ラウンドTKO勝ちを飾り、ひとつの無効試合をはさんで、27連勝を飾ります。母国アルゼンチンを中心に中南米で大旋風を巻き起こします。

快進撃を続けるルーカス・マティセは2010年11月、アメリカ初進出を果たし、2階級制覇の実績を誇るザブ・ジュダーと対戦。10ラウンドに右ストレートでダウンを奪ったルーカス・マティセですが、僅差の判定負けを喫してしまいます。プロ初黒星は、判定が1-2で割れた大接戦でした。

プロ初黒星を喫したルーカス・マティセですが、知名度のあるザブ・ジュダーを苦しめたことで、評価が急上昇。次戦で、元世界チャンピオンのデマーカス・コーリーをリングに沈め、2011年6月、デボン・アレキサンダーと激突します。

サウスポーのテクニシャンとして評価の高いデボン・アレキサンダーからダウンを奪ったルーカス・マティセですが、またしても1-2で僅差の判定負けを喫し、プロ2敗目を喫してしまいます。

しかし、ルーカス・マティセの評価が下がることはありませんでした。2012年6月、3階級制覇の実績を誇るウンベルト・ソトと激突。一度もKO負けのないウンベルト・ソトをリングに沈め、初の世界タイトル挑戦のチャンスを引き寄せます。

2012年9月、ルーカス・マティセはWBC世界スーパーライト級暫定王座決定戦に出場。全勝でタフなアジョセ・オルセグンを怒涛の連打で沈め、10ラウンドTKO勝ちで暫定タイトル奪取に成功。「無冠の帝王」が頂点に輝いた瞬間でした。

暫定タイトルを獲得したルーカス・マティセは2013年1月、初防衛戦でマイク・ダラスと激突。1ラウンドでマイク・ダラスをリングに沈め、防衛に成功します。冷静な試合運びと強打が印象に残った初防衛戦でした。

圧倒的な強さを発揮し始めたルーカス・マティセは2013年5月、IBFチャンピオンのレイモント・ピーターソンとノンタイトルマッチで激突。結果は、3度のダウンを奪う3ラウンドTKO勝ち。一度もKO負けのなかったレイモント・ピーターソンを自慢の強打でリングに沈めた快勝でした。

圧巻のKO劇を演じたルーカス・マティセは2013年9月、王座統一をかけてWBA・WBCチャンピオンのダニー・ガルシアと激突。結果は12ラウンド判定負け。ダニー・ガルシアの左フックと左フックを浴び、腫れ上がった右目が視界をふさぐ厳しい戦いの末、判定負けで無念の黒星を喫してしまいました。

再起を目指すルーカス・マティセは2014年4月、ベテランのジョン・モリナと激突します。2ラウンドと5ラウンドにダウンを奪われる苦しい前半でしたが、後半に入って盛り返し、合計3度のダウンを奪い、結果は、11ラウンドTKO勝ち。絶体絶命のピンチを乗り切った大逆転劇でした！

大ピンチを切り抜けたルーカス・マティセは2014年9月、無敗のロベルト・オルティスと対戦します。結果は、圧巻の2ラウンドKO勝ち。ルーカス・マティセが立ち上がりからロベルト・オルティスにプレッシャーをかけ続け、強烈な左ボディブローでリングに沈めた快勝でした。

パワフルなパンチと高度なテクニックを兼ね備えたルーカス・マティセ。アルゼンチンが生んだ「破壊王」は、試合を重ねるたびにボクシングの本場アメリカで評価を高めています。敗戦後も人気は健在！ルーカス・マティセのアメリカンドリームが本格的に実現する日はそう遠くなさそうですね。

ルーカス・マティセのプロフィール