サウスポーの特徴を最大限に生かして4階級制覇を成し遂げたテクニシャン
アメリカ出身のロバート・ゲレロは、天性の当て勘と巧みなテクニックを駆使して4階級制覇を達成した攻防兼備のスタイリッシュなサウスポーです。
懐の深さを生かして、相手に打たせず自分のパンチだけが当たる距離で戦うスマートなボクシングを得意としています。
ニックネームは「ゴースト」。長身で相手に打たせないボクサーによく使われるニックネームは、ロバート・ゲレロの特徴を見事に表現していますね。リーチが長く、しかもサウスポー。フットワークも軽快で、対戦相手は見た目以上に距離を感じるのではないでしょうか?
特筆すべきはロバート・ゲレロはカウンター。対戦相手が懐に飛び込んできたところへ抜群のタイミングで左ストレート、左アッパーを叩き込み、勝負を決めます。
中間距離の戦いが続くと、右ジャブをポンポン打ち込みながら左ストレートで突き放し、「あれよ、あれよ」と試合の主導権を握ります。自分のボクシングを貫く強い意志こそ、ロバート・ゲレロの強さの秘密だと思います。
デビュー当時のロバート・ゲレロはポイントを計算しながら戦う「ガチガチの戦術家」でした。管理人が初めてロバート・ゲレロの試合を観たとき「若いのに、ベテランみたいなボクシングをするんだなあ」と思ったものです。
2006年3月、ガマリアル・ディアスに12ラウンド僅差の判定負けでプロ初黒星を喫したロバート・ゲレロですが、その3か月後に再戦で6ラウンドTKO勝ちを飾り、リベンジに成功。そして、プロデビューから5年目の2006年9月、初の世界タイトル挑戦のチャンスを手にします。
ターゲットはIBF世界フェザー級チャンピオンのエリック・エイケン。世界タイトル奪取に執念を燃やすロバート・ゲレロは、エリック・エイケンのパワーを封じ込めるため、接近戦で勝負を挑み、8ラウンド負傷判定勝ちで悲願の世界チャンピオンベルトを手にします。
2006年11月の初防衛戦でオルランド・サリドに12ラウンド判定負けを喫してタイトルを失ってしまったロバート・ゲレロですが、試合後のドーピング検査でオルランド・サリドにステロイドの陽性反応が出て、試合は無効。王座は空位となります。
2007年2月、ロバート・ゲレロはスペンド・アバシと空位のIBF世界フェザー級タイトルを争い、9ラウンドTKO勝ちで再び戴冠に成功します。
2度目の防衛戦では、強敵のジェイソン・リッツォーに8ラウンドKO勝ちを飾ります。少しずつ「ガチガチの戦術家」から「攻撃的なテクニシャン」へ変貌を遂げていくロバート・ゲレロのボクシングに変化を感じたボクシングファンも多いのではないでしょうか?
2009年1月に階級をスーパーフェザー級へ上げてエデル・ルイスとテストマッチを行い、1ラウンドTKO勝ち。2009年8月、2階級制覇をかけてマルコム・クラッセンが持つIBF世界スーパーフェザー級タイトルに挑戦し、12ラウンド判定勝ちで2階級制覇します。
「ゲレロ時代の到来だね」と思った矢先、妻ケイシーさんの白血病が見つかります。ロバート・ゲレロは妻の看病に専念するため、王座を返上することを決意しました。
「妻は人生で最も困難な時を迎えています。世界チャンピオンベルトは私にとって大きな財産ですが、かけがえない妻は最も大切な存在なのです。今はグローブを置いて、妻の看病に専念したいと考えています」と一時的にリングを離れることを宣言します。
世界タイトルを手放したロバート・ゲレロですが、最愛の妻を守り抜き、夫婦で困難を乗り越えると、2010年4月にカムバック。復帰を果たしたロバート・ゲレロは2010年7月にホエル・カサマヨルと激突し、10ラウンド判定勝ちで元2階級制覇チャンピオン対決に快勝します。
「ゲレロ健在!」を強烈にアピールして迎えた2011年4月。ロバート・ゲレロは3階級制覇をかけてマイケル・カチディスと空位のWBA・WBO世界ライト級暫定タイトルを争います。
マイケル・カチディスの猛烈なラッシュに苦しめられる場面もありましたが、得意のカウンターで主導権を握り、大熱戦の末、3階級制覇を達成。妻のケイシーさんが見守る中、誇らしげにチャンピオンベルトを掲げるロバート・ゲレロの姿が本当に印象的でした。
2012年7月、1年3か月に復帰を果たしたロバート・ゲレロは、4階級制覇をかけて全勝のセルチュク・アイディンと対戦。激しい死闘の末、ロバート・ゲレロが12ラウンド判定勝ちを飾り、4階級制覇を達成しました。
強豪を撃破して4階級制覇を成し遂げたロバート・ゲレロは2012年11月、強打を誇るアンドレ・ベルトを挑戦者に迎えて初防衛戦を行います。結果は2度のダウンを奪い、12ラウンド判定勝ち。スタイリッシュなロバート・ゲレロが最初から最後まで接近戦で打ち合う姿が印象的な激闘でした。
強豪を撃破し続けるロバート・ゲレロは2013年5月、全勝のフロイド・メイウェザーと対戦。しかし、結果は12ラウンド判定負け。好戦的なボクシングで勝負をしましたが、ボクシング界の頂点に君臨する「天才」にパンチをかわされ、逃げ切られる無念の敗戦でした。
ビッグマッチに敗れたロバート・ゲレロは2014年6月、1年1か月ぶりの再起戦で日本の亀海喜寛選手と激突。亀海喜寛選手の前に出続けるボクシングに苦しめられたロバート・ゲレロですが、多彩なパンチを粘り強く打ち続けて応戦し、結果は12ラウンド判定勝ち。両雄の顔面が腫れあがる大激闘を勝ち抜き、復活をアピールしました。
亀海喜寛選手との激闘を勝ち抜いたロバート・ゲレロは2014年12月、キース・サーマンが持つWBA世界ウェルター級タイトルへ挑戦します。結果は、無念の12ラウンド判定負け。キース・サーマンのパワーとスピードに苦しめられ、9ラウンドにダウンを奪われてしまう完敗でした。でも、最後まで戦い抜いたロバート・ゲレロに大きな拍手が降り注いだ敗戦でしたね。
最愛の妻を守りながら、愛するリングで戦い続けるロバート・ゲレロ。世界中のボクシングファンが数々の困難を乗り越え、4階級制覇を達成した「不死鳥」は挫折をバネに再び羽ばたくことができるでしょうか?攻撃的なボクシングへ変貌を遂げ、進化を続けるロバート・ゲレロの復活に注目です。
ロバート・ゲレロのプロフィール
ニックネーム | ゴースト |
誕生日 | 1983年3月27日 |
戦績 | 38戦32勝18KO3敗1分2無効試合 |
獲得タイトル |
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