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アンドレ・ベルト

強打とスピードを兼ね備えた好戦的なスーパースター候補

アメリカ出身のアンドレ・ベルトは圧倒的なスピードと的確に急所を打ち抜く強打で全勝のまま世界チャンピオンに輝いたパード・パンチャーです。

攻撃的なボクサーで、一撃で相手を倒すことも、スピードで相手を圧倒して最終的に相手が我慢できなくなってTKOを呼び込むボクシングもできます。アンドレ・ベルトの生命線であるパンチのスピード、出入りのスピードはトップクラスだと思います。

アンドレ・ベルトは、2004年のアテネオリンピックに出場後、プロへ転向。アンドレ・ベルト本人は、フロリダ出身のアメリカ人ですが、アテネオリンピックには両親の出身地であるハイチ代表として出場しています。

出身国以外の代表としてオリンピックに参加できると知らなかった管理人にとって、新しい発見でした。ちなみに、オリンピックは1回戦で敗退しています。

プロ転向後は、持ち前のスピードと攻撃力を武器に、連戦連勝を重ね、2007年、NABF北米ウェルター級タイトルを獲得。世界ランキング上位に名を連ねるようになり、2008年6月、世界タイトル挑戦の機会をうかがうアンドレ・ベルトに大きな転機が訪れます。

当時、WBC世界ウェルター級タイトルを保持していたフロイド・メイウェザーが引退を発表。フロイド・メイウェザーの引退(2009年10月に現役復帰)により、空位となったWBC世界ウェルター級タイトルをランキング1位のアンドレ・ベルトと2位のミゲール・ロドリゲスで争うことになったのです。

ボクシングに関わらず、スーパースターと呼ばれる逸材は「時代」に愛されています。もしフロイド・メイウェザーが引退しなければ、ランキング1位のアンドレ・ベルトはいずれ指名挑戦者として、フロイド・メイウェザーが持つ世界タイトルに挑戦したはずです。

実際、フロイド・メイウェザーとアンドレ・ベルトが拳を交えることはなかったので、ここからは管理人の予想にすぎませんが、当時のフロイド・メイウェザーとアンドレ・ベルトの戦力を考えると、フロイド・メイウェザーの判定勝ちが最も確率の高い結果だと思います。

しかし、フロイド・メイウェザーの引退で、アンドレ・ベルトのターゲットは、ミゲール・ロドリゲスに変更されたのです。まるでボクシングの女神がアンドレ・ベルトに微笑んでいるかのようでした。

満を持して迎えたWBC世界ウェルター級王座決定戦で、アンドレ・ベルトは、ミゲール・ロドリゲスに7ラウンドTKO勝ちを飾り、世界タイトルを奪取。プロデビューから4年、アンドレ・ベルトが全勝のまま世界チャンピオンに輝いた瞬間です。

2008年9月には、実力者のスティーブ・フォーブスを12ラウンド判定で下し、初防衛戦に成功。2009年1月には、元WBA世界ウェルター級チャンピオンのリッキー・ハットンを苦しめたルイス・コラーゾに苦戦しながらも判定勝ちを飾ります。

2009年5月には、階級を上げて挑戦したIBF世界スーパーライト級チャンピオンのファン・ウランゴに12ラウンド大差の判定勝ち。着実に防衛を重ね、世界中のボクシングファンに実力を証明し続けます。

2010年4月には、元世界チャンピオンのカルロス・キンタナに8ラウンドTKO勝ち。「次世代のスーパースターはアンドレ・ベルトで決まり」という声が高まり始めます。評価を高めながら迎えた2011年4月、「次世代のスーパースター」を決める戦いがセットアップされます。

6度目の防衛戦の相手はビクター・オルティス。好戦的なボクサー同士の激突は倒し倒されの大熱戦となりますが、結果はアンドレ・ベルトの判定負け。スーパースターの階段を駆け上がってきたアンドレ・ベルトが初黒星を喫した瞬間でした。

プロのリングで初の屈辱を味わったアンドレ・ベルトは、2011年9月に再起。5か月ぶりの試合で、いきなりヤン・ザベックが持つIBF世界ウェルター級タイトルに挑戦します。

ヤン・ザベックの強固なディフェンスに手を焼くシーンがありましたが、終わってみれば、アンドレ・ベルトが5ラウンドTKO勝ちで世界タイトルの奪取に成功。再び王座に返り咲き、スーパースターの階段を歩み始めます。

世界チャンピオンに返り咲いたアンドレ・ベルトは、ビクター・オルティスと再戦を優先するため、タイトルを返上。しかし、試合前の薬物テストで陽性反応が検出され、試合はキャンセル。出場停止となり、長期の離脱を余儀なくされてしまいます。

不遇の時期を過ごしたアンドレ・ベルトですが、2012年11月の復帰戦で4階級制覇チャンピオンのロバート・ゲレロに挑戦。しかし、1ラウンドと2ラウンドに奪われたダウンが最後まで響き、結果は12ラウンド判定負け。王座返り咲きを果たすことはできませんでした。

再起を目指すアンドレ・ベルトは2013年7月、タフなメキシカンのヘスス・ソト・カラスと激突。11ラウンドにダウンを奪いますが、12ラウンドにダウンを奪われて無念のTKO負け。1ラウンドにもらった強烈なオーバー・ハンド・ライトが最後まで影響した痛恨の敗戦でした。

2連敗でタイトル戦線から大きく後退してしまったアンドレ・ベルトは痛めていた肩を手術を決意。1年以上の長期離脱のあと、2014年9月に再起戦でスティーブ・アップシャー・チャンバースと激突します。結果は10ラウンド判定勝ち。序盤に強打を浴びる不安な一面を見せてしまいますが、攻撃的なボクシングで盛り返し、連敗を2で食い止めました。

復活を果たしたアンドレ・ベルトは2015年3月、WBAウェルター級の暫定タイトルをかけてホセシト・ロペスと対戦します。結果は、アンドレ・ベルトの6ラウンドTKO勝ち。ホセシト・ロペスのカウンターに苦しめられたアンドレ・ベルトですが、得意の右ストレートでダウンを奪い、一気に勝負を決めた王座返り咲きでした。

管理人は、実力や人気はもちろん、時代に愛される、ある種の幸運がないと、スーパースターにはなれないと思っています。フロイド・メイウェザーの引退がアンドレ・ベルトに大きなチャンスを与えました。世界タイトル奪取で実力を証明しました。

一度は挫折を味わいましたが、自らの力で挫折を乗り越え、再び頂点を目指して歩み始める強さを証明しました。しかし、出場停止と復帰戦の敗戦で、新たな試練に直面することになりました。ただ、持ち味の攻撃的なボクシングを貫くことができれば、人気はまだまだ健在だと思います。

だからこそ、知りたいのです。アンドレ・ベルトはどれだけ時代に愛されているボクサーなのでしょうか?「スーパースター候補」と呼ばれた強打者の行く先にファンの夢があることを期待して、これからも注目したいと思います。

アンドレ・ベルトのプロフィール

出身 アメリカ
誕生日 1983年9月7日
戦績 33戦30勝23KO3敗
獲得タイトル
  • WBC世界ウェルター級タイトル
  • IBF世界ウェルター級タイトル
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