バーナード・ホプキンス「引退は避けられない。でも、情熱が続く限り戦いたい」
王座陥落が新しい伝説の始まりとなるのでしょうか?2階級制覇の実績を誇る49歳のバーナード・ホプキンスがテレビ番組に出演し、完敗を喫したセルゲイ・コバレフ戦を振り返りながら、気になる引退についてコメントしました。2015年1月に50回目の誕生日を迎える「戦う伝説」の闘志は全く衰えていないようです!
「コバレフ戦を簡単に振り返れば、ヤツが本物のチャンピオンだったってことさ。結果はご覧のとおり。完敗を喫したあとに何を言っても言い訳になるだろ?私にできることは、コバレフを賞賛することだけだ。コバレフはまだまだ強くなる。2014年のファイター・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀ボクサー)に値するボクシングを披露したと思うよ」
「引退?コバレフに負けて、世界タイトルを失ったことで、引退について質問される回数がすごく増えたよ。はっきりと言っておこう。体が健康で、情熱が続く限り、ボクサーとしてリングに上がり続けるよ。いずれ引退する日はやってくる。でも、今じゃないことだけは確かだ。私は誰よりもボクシングをリスペクトし、真摯(しんし)に向き合ってきた。昔も今も情熱は変わらない」
【50歳の誕生日を目前にした「戦う伝説」が無念の王座陥落です】
2014年11月8日(日本時間11月9日)。ライトヘビー級の2本のベルトを保持していたバーナード・ホプキンスが王座統一戦でセルゲイ・コバレフに12ラウンド大差の判定負けを喫し、チャンピオンベルトを失うことになりました。2015年1月15日に50回目の誕生日を迎える「戦う伝説」。50歳の統一チャンピオン、50歳の世界チャンピオンの夢が消えた王座陥落でした。
乱暴な言い方をすると、バーナード・ホプキンス対セルゲイ・コバレフの王座統一戦は、バーナード・ホプキンスの「ボロ負け」でした。たとえピンチに追い込まれても、余裕を失わない百戦錬磨のバーナード・ホプキンスですが、セルゲイ・コバレフ戦で「打ってこいよ」と挑発した場面は2回だけ。全く余裕のない「エイリアン」バーナード・ホプキンスの試合を初めて観戦しました。
結果だけを考えると、バーナード・ホプキンスの完敗です。でも、バーナード・ホプキンス対セルゲイ・コバレフの王座統一戦は、勝敗をはるかに超越したメッセージが込められています。バーナード・ホプキンスは2014年4月、当時のWBAチャンピオンだったベイブト・シュメノフに勝利し、ライトヘビー級のタイトルを統一。試合をせずに50回目の誕生日を迎える選択肢を手にしました。
50回目の誕生日を迎えたあとに防衛戦をすれば、自動的に、50歳の世界チャンピオン、50歳の統一チャンピオンが誕生します。おそらく、ボクシングの歴史で最も更新することが難しい偉大な記録です。でも、49歳のバーナード・ホプキンスは「挑戦」することを選び、リングに上がりました。
ボクシングの歴史でバーナード・ホプキンスだけに許された、たった一度の誇り高き決断。49歳の統一チャンピオンの「挑戦」は失敗に終わりましたが、バーナード・ホプキンスにしか伝えることができないメッセージが世界中のボクシングファンに届いた瞬間でした。挑戦する美しさをリングで体現した誇り高きスーパースターの勇姿に心が震えました。
もし「ハンサム・オブ・ザ・イヤー」という賞があるなら、2014年のボクシング界で最も男前だったボクサーは、バーナード・ホプキンスで間違いないはずです。50歳を目の前にして世界タイトルを失ってしまったバーナード・ホプキンス。しかし、情熱の炎は消えることなく、改めて、ゲンナディ・ゴロフキン戦やフロイド・メイウェザー戦の実現に意欲を示しています。
素人ファンの願いは「50歳の世界チャンピオンが誕生する瞬間が見たい!」です。2015年の地球を舞台に「エイリアン対スーパーマン」が実現しますように。バーナード・ホプキンスがアドニス・スティーブンソンに勝つチャンスは十分にあると信じています。だって、バーナード・ホプキンスもまた、不可能を可能にする「奇跡のボクサー」なのですから。