WBC世界ウェルター級タイトルマッチ
チャンピオン | アンドレ・ベルト(アメリカ) 戦績:22戦全勝19KO |
挑戦者 | スティーブ・フォーブス(アメリカ) 戦績:39戦33勝9KO6敗 |
試合内容
管理人が最も注目しているボクサーのひとり、アンドレ・ベルト。2008年6月、フロイド・メイウェザーが引退して空位になったWBC世界ウェルター級タイトルをミゲール・ロドリゲスと争い、見事にKO勝ちで奪取し、全勝で世界チャンピオンになったボクシングファン期待のホープです。
圧倒的なスピードと攻撃力を武器に頂点に登りつめたベルトが初防衛戦の相手に選んだボクサーは、スティーブ・フォーブス。2008年5月に行われたオスカー・デラホーヤ再起戦の対戦相手として注目された技巧派の元世界チャンピオンです。次世代を担うボクサーとして期待されるベルトは、KO負けの経験がないフォーブスを倒すことができるのでしょうか?
試合は序盤から積極的にパンチを打ち込むベルトに対して、挑戦者のフォーブスがフットワークとブロッキングでかわすという展開が続きます。ベルトのパンチ、動きのスピードは超一級品だと思いますが、デラホーヤでさえKO勝ちできなかったフォーブスのディフェンスの上手さもさすがです。ベルトはときどきフォーブスからクリーンヒットを奪うのですが、フットワークでごまかされ、連打ができません。
一方、フォーブスはベルトの攻撃をしのぐことで精一杯で、攻撃するまでに至りません。簡単に言ってしまえば、ベルトとフォーブスは何度戦っても同じような展開で、全くかみ合わないと思います。「負けないボクシング」をするボクサーが相手なら倒すこともできるのでしょうが、フォーブスは誰と戦っても「倒されないボクシング」をするので、ベルトに限らずフォーブスにKO勝ちすることは難しいですよね。
結局、試合は一方的なベルトのペースで進み、3-0の判定勝ちで初防衛に成功。予想通りの展開と言えば、その通りですが、ベルトの良さや改善点を発見できた試合でした。まずベルトの良さですが、何と言っても右アッパーでしょう。どんな体勢からでもアッパーを打てるボクサーは少ないので、対戦相手にとっては脅威ですね。
また、スタミナも驚異的です。管理人は序盤3ラウンドのベルトの戦い方を観て、「オーバーペースじゃないかな?」と思ったのですが、結局12ラウンド休むことなくパンチを出して戦っていました。ベルトのようにパンチを強振するタイプのボクサーは、試合が進めば進むほど手数が減る傾向にありますが、ベルトには12ラウンド打ち続けられるスタミナがあるようです。競った試合ほどスタミナが勝敗を分ける傾向があるので、素晴らしい武器ですね。
逆に、ボディーブローの少なさと、接近戦の不器用さは気になりました。中間距離で戦った場合、2008年10月現在でも、スーパースターでない限り、ベルトに勝つことは至難の業だと思います。しかし、距離を詰めることができれば、ベルトが打てるパンチの種類は限られ、中間距離の半分の力も出せないのではないでしょうか?
ベルトが得意とする右アッパーは接近戦の大きな武器ですが、基本的に顔面狙いで、ストレート系のショートパンチはほとんどありません。実力差があるボクサーや、ディフェンス重視のボクサーなら、今のままで勝ち続けることができるでしょう。しかし、チャンピオンクラスが対戦相手となると、ボディーブローを織り交ぜた「パンチの幅」が必要だと思います。
管理人は「ホープ」と呼ばれる現役ボクサーで、ベルトに一番大きな期待を寄せています。2009年はパンチのあるボクサー、手数の多いボクサーと戦ってボクシングの幅、持久力、経験を貯えながら、2010年に他団体のチャンピオンと統一戦を行ってほしいです。まだまだ底が見えないスーパースター候補なので、今後が楽しみですね。
試合結果
試合結果 | アンドレ・ベルトが3-0の大差の判定勝ちでタイトル防衛に成功。管理人の採点は117-111でアンドレ・ベルトの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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