WBC世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦
WBC世界スーパー ウェルター級2位 |
セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン) 戦績:45戦43勝23KO1敗1分 |
WBC世界スーパー ウェルター級4位 |
アレックス・ブネマ(コンゴ民主共和国) 戦績:37戦30勝16KO5敗2分 |
試合内容
WBC世界スーパーウェルター級チャンピオンのセルジオ・モーラと前チャンピオンのバーノン・フォレストが直接再戦することが決まったことで設けられた今回の暫定王座決定戦。ランキング2位のセルヒオ・マルチネスと4位のアレックス・ブネマが争います。マルチネスもブネマも世界初挑戦で、勝てば初の世界タイトル獲得です。
ランキング2位のマルチネスはスピード豊かなテクニシャンのサウスポー。2000年、アントニオ・マルガリートにプロで唯一の黒星を喫して以来、連勝を続けている実力者です。
一方のブネマも2008年1月に元世界チャンピオンのローマン・カルマジンにTKO勝ちを収めた実力者。もしブネマが勝てば、コンゴ民主共和国出身のボクサーとして初の世界チャンピオンに輝きます。初の世界タイトル奪取へ向けて、実力者同士が激突した暫定王座決定戦は意外な展開となりました。
序盤からペースを握ったのはランキング上位のマルチネス。持ち味のスピードを活かしたボクシングで、キレのあるパンチを確実にヒットさせてポイントを奪います。ブネマの強打を空振りさせながら、自分のパンチだけ当てるところをみると、両者のスピードの差はかなりあるようです。
サウスポーは、右へ回りながら、相手の利き腕である右ストレート、右フックが届きにくいポジションで戦うことがセオリーとなっていますが、マルチネスはセオリーと全く逆の左へ動きながら戦っています。自分の右ジャブが当てやすいポジションで戦ってペースを握ろうという作戦です。また、「相手のパンチをかわせる」と自信がないとできない作戦ですね。
管理人は試合前、「かなり接戦になるんじゃないかな」と予想していたのですが、試合開始のゴングが鳴ってみると、一方的なマルチネスのペースで試合が進み、正直言って驚きました。ブネマは世界チャンピオンになってもおかしくない実力を持ったボクサーだと思いますが、そのブネマが全く太刀打ちできないんです。ブネマが弱いのではなく、マルチネスが強いんですね。
結局、試合は一方的なマルチネスのペースで進み、8ラウンド終了時にドクターがブネマをチェックして、そのまま試合終了。マルチネスが悲願の世界タイトルを獲得しました。マルチネスのボクシングはどことなく、ジョー・カルザゲに似ていますね。カルザゲのような回転の速い連打はありませんが、同じサウスポーで距離の取り方と詰め方、ディフェンスの上手さなど、似ている部分が多いのではないでしょうか?
「マルチネスほどのボクサーが33歳まで世界タイトルに挑戦できなかったなんてかわいそうだなあ」と思えるほど強いです。スピードだけなら、スーパーウェルター級のチャンピオンの中でナンバーワンですね。
マルチネスのようなボクサーに勝つためには、圧倒的な手数を誇るボクサーか、一発で相手を仕留めるパンチ力を持ったボクサーでないとズルズルとペースを握られて一方的な展開で終わってしまうでしょう。世界チャンピンクラスじゃないと、スピードで翻弄されて勝負にならないと思います。
いずれ正チャンピオンのモーラと前チャンピオンのフォレストの勝者と戦う機会があると思いますが、モーラならマルチネスの圧勝、フォレストでもマルチネスの勝利と予想します。誰が戦っても「負けないボクシング」を身に付けているマルチネスに勝つことは簡単ではないですね。打たせずに打つことができる本当にエレガントなボクサーです。
試合結果
試合結果 | セルヒオ・マルチネスが8ラウンド終了TKO勝ちで初の世界タイトル獲得。 |