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ミゲール・コットがジョシュア・クロッティを迎えた初防衛戦

WBO世界ウェルター級タイトルマッチ

チャンピオン ミゲール・コット(プエルトリコ)
戦績:34戦33勝27KO1敗
挑戦者 ジョシュア・クロッティ(ガーナ)
戦績:38戦35勝22KO2敗1無効試合

試合内容

2009年2月、再起戦でWBO世界ウェルター級王座決定戦に挑み、マイケル・ジェニングスに勝利を収めたミゲール・コットが、初防衛戦で前IBF世界ウェルター級チャンピオンのジョシュア・クロッティと激突します。試合予想をした頃は、IBFとWBOの王座統一戦でしたが、ミゲール・コット戦を優先したIBFチャンピオンのジョシュア・クロッティのタイトルがはく奪されたため、WBO世界ウェルター級チャンピオンのミゲール・コットに、ジョシュア・クロッティが挑戦するかたちになったようです。

実質的な統一戦と言えるミゲール・コット対ジョシュア・クロッティ戦は今後のウェルター級戦線の行方を占うサバイバルマッチ第一弾です。プエルトリコの英雄、ミゲール・コットのテクニックが上回るのか?世界タイトルをはく奪されても、ミゲール・コット戦にかけたジョシュア・クロッティの気迫が上回るのか?注目のウェルター級サバイバルマッチは一進一退の激闘になりました。

1ラウンドはお互いが様子を見る比較的静かな立ち上がり。鉄壁のガードを誇るジョシュア・クロッティに対して、ミゲール・コットが上下のコンビネーションを使いながら突破口を探しているようです。すると、ラウンド中盤、ミゲール・コットの左ジャブが、ジョシュア・クロッティの顔面をとらえ、ダウンを奪います。「あ、倒れちゃった」と驚く管理人。ダメージはそれほどないようですが、ジョシュア・クロッティが踏み込もうとしたところに、ミゲール・コットの左ジャブがカウンターで飛んできましたね。

「このダウンで試合が動きそうだぞ」と思い始めた2ラウンド、ジョシュア・クロッティがコンパクトな左ジャブから右ストレートのコンビネーションをミゲール・コットの顔面にたたき込み、反撃開始。ディフェンスの上手いミゲール・コットがジョシュア・クロッティの右ストレートをまともにもらっています。モーションが少なく、最短距離を走る理想的な右ストレートですね。

「コットはズルズル下がると、初黒星を喫したアントニオ・マルガリート戦の二の舞になっちゃうよ。このままだと、少しずつクロッティのペースになりそうだなあ」と思っていると、3ラウンド終了間際、偶然のバッティングで、ミゲール・コットが左目の上をカットしてしまいます。「うわ、かなり深い!血が止まるかな?」と傷の具合を心配する管理人。ただでさえ、ジョシュア・クロッティの右ストレートに手を焼いているミゲール・コットにとって、手痛いカットです。

4ラウンドは、ボディーワークとフットワークでジョシュア・クロッティの前進を上手くかわし、回転の速い連打で反撃したミゲール・コットですが、5ラウンドに入ると、ジョシュア・クロッティがさらにプレッシャーを強め、ミゲール・コットをロープへ追い詰める場面が増えます。「ありゃ、これはいよいよ危ないかも」と思い始めた5ラウンド終盤、ジョシュア・クロッティにアクシデント発生。スリップダウンで右足を負傷してしまいます。ミゲール・コットは左まぶた、ジョシュア・クロッティは右足にトラブルを抱える予想外の展開です。

中盤以降、左まぶたをカットしたミゲール・コットは傷口の影響を考えてか、上下のコンビネーションブローを中心にしたアウトボクシングで攻撃を組み立て、一方のジョシュア・クロッティは故障の影響で足に力が入らないのか、体重を乗せて力いっぱい打ち込むパンチではなく、力を抜いたスピード重視のパンチに切り替え、攻撃を組み立てます。

8ラウンド、ジョシュア・クロッティの強烈な右フックがミゲール・コットの顔面をとらえますが、9ラウンドに入ると、ミゲール・コットがさらにアウトボクシングを徹底し、10ラウンド終盤には疲れの見え始めたジョシュア・クロッティをロープへ詰めて左右のフックを連打!お互いに苦しい中、一進一退の攻防が続きます。

終盤はミゲール・コットもジョシュア・クロッティもいっぱいいっぱいの状態で、決定打を打ち込むことができず、12ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。「採点、めちゃめちゃ難しいよ」と頭を抱える管理人。結果は3人のジャッジに委ねられ、2人がミゲール・コット、1人がジョシュア・クロッティを支持し、ミゲール・コットが2-1の判定勝ちで初防衛に成功しました。

ミゲール・コット、ジョシュア・クロッティのどちらにとってもタフな試合でしたね。初黒星を喫したアントニオ・マルガリート戦では、フィジカルで上回るアントニオ・マルガリート相手に打ち合いに行った結果、KO負けを喫してしまったミゲール・コットですが、この試合は左まぶたをカットしたこともあり、途中からアウトボクシングに徹し、「打ち勝ちたい」という気持ちを抑えたことで、勝利をつかんだと思います。

「負けん気の強いコットがよく自分を抑えたなあ」と感心し、ミゲール・コットの進化を目にした管理人ですが、ウェルター級として、体の小さなミゲール・コットは、フィジカルが強く、ガンガン前へ出てくるタフなボクサーが苦手なようです。スーパーライト級で初の世界タイトルを獲得して以来、抜群のテクニックとタイミングで打ち合いを制してきたミゲール・コットですが、もしかすると、スタイルチェンジが必要な時期に差し掛かっているのかもしれませんね。

試合結果

試合結果 ミゲール・コットが12ラウンド判定勝ちで初防衛に成功。管理人の採点は114-113でミゲール・コットの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 116-111(ミゲール・コット)
  • 115-112(ミゲール・コット)
  • 114-113(ジョシュア・クロッティ)
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特集!ミゲール・コット対サウル・アルバレス

新旧スター対決!ミゲール・コットの防衛か?サウル・アルバレスの2階級制覇か?

4階級制覇の実績を誇る「プエルトリコの英雄」ミゲール・コットと2階級制覇を目指す「メキシコの至宝」サウル・アルバレスがついに激突。絶大な人気を誇る新旧スーパースター対決です!

WBC世界スーパーフェザー級チャンピオンの三浦隆司選手も同じイベントに登場します。

テレビ放送日時 11月21日(土)HBOでPPVライブ中継(アメリカ)
11月22日(日)WOWOWで11時から生中継(日本)
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