WBC暫定世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
チャンピオン | セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン) 戦績:46戦44勝24KO1敗1分 |
挑戦者 | カーミット・シントロン(プエルトリコ) 戦績:32戦30勝27KO2敗 |
試合内容
2008年10月、アレックス・ブネマとWBC暫定世界スーパーウェルター級タイトルを争い、見事な8ラウンド終了TKO勝ちを収めたセルヒオ・マルチネスが強打者のカーミット・シントロンを迎え、初防衛に挑みます。スピード豊かな技巧派サウスポー、セルヒオ・マルチネスと、2階級制覇を狙うハードパンチャー、カーミット・シントロンという好対照なボクサー同士の激突です。
プロデビュー後、セルヒオ・マルチネスが敗れた試合はわずか1試合、カーミット・シントロンが敗れた試合はわずか2試合だけなんですが、いずれの敗戦もアントニオ・マルガリートにKO負けを喫した黒星なんです。セルヒオ・マルチネスもカーミット・シントロンもアントニオ・マルガリート以外のボクサーにはプロのリングで負けた経験がありません。不思議な縁ですね。
試合は序盤から暫定チャンピオンのセルヒオ・マルチネスのペースで進みます。管理人はセルヒオ・マルチネスが暫定タイトルを獲得したアレックス・ブネマ戦で初めてセルヒオ・マルチネスのボクシングを観たのですが、その時と同じ驚きがあります。元IBF世界ウェルター級チャンピオンの強打者、カーミット・シントロンを、スピードで翻弄しています。パンチ力はカーミット・シントロンが上ですが、パンチを当てる上手さはセルヒオ・マルチネスのほうが上ですね。
「シントロンはマルチネスと打ち合って勝負したいけど、マルチネスにカウンターを打たれては逃げられる苦しい展開だなあ」と思っていると、5ラウンドには左まぶたをカットし、さらに苦しい状況に追い込まれます。これまで数々の強敵をリングに沈めてきたカーミット・シントロンの強打が空回るシーンが目立ちます。
セルヒオ・マルチネス有利で迎えた7ラウンド、前代未聞の珍事件が発生します。ラウンド終了間際、セルヒオ・マルチネスの左ストレートがカーミット・シントロンのアゴをとらえ、カーミット・シントロンがダウン!カーミット・シントロンは10カウント以内に立ち上がってファイティングをポーズを取らなかったため、レフェリーが試合をストップしました。
ところが、カーミット・シントロンは「バッティングによるダウンだ!」と主張したのです。リプレイで観る限り、セルヒオ・マルチネスのパンチが綺麗に決まり、バッティングはないのですが、なぜかリングサイドで観戦しているコミッションは、レフェリーの判定を覆して、試合続行を指示。本来ならセルヒオ・マルチネスのKO勝ちで試合終了なのですが、試合続行となってしまいました。
ただ、KO負けにはなりませんでしたが、7ラウンドのダウンでカーミット・シントロンが大きなダメージを負ったのは観るからに明らかです。セルヒオ・マルチネスが8ラウンド以降も有利に試合を進め、12ラウンド終了後、勝敗は3人のジャッジに委ねられます。
結果は1人がセルヒオ・マルチネスを支持しましたが、残りの2人は引き分け。「え?マルチネスの圧勝じゃないの?」とビックリする管理人。本来ならセルヒオ・マルチネスの7ラウンドKO勝ちが、なぜか判定までもつれ込み、結局、引き分けになっちゃいました。
引き分けなので、結果的にセルヒオ・マルチネスは初防衛に成功しましたが、セルヒオ・マルチネスにとってかわいそうな採点です。管理人は、セルヒオ・マルチネスが終始試合を支配していたと思います。カーミット・シントロンの良さは完全に消され、セルヒオ・マルチネスの快勝だったと思うのですが、今回のタイトルマッチは、ここ数年で一番不可解な試合でしたね。判定を聞いて、苦笑いをしたセルヒオ・マルチネスの表情がすべてを物語っていたと思います。せっかくの好カードが台無しです。ボクシングの残念な部分が出た試合でした。
試合結果
試合結果 | セルヒオ・マルチネスが12ラウンド判定の末、引き分けでタイトル防衛に成功。管理人の採点は116-110でセルヒオ・マルチネスの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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