WBA暫定世界バンタム級タイトルマッチ
チャンピオン | ネオマール・セルメニョ(ベネズエラ) 戦績:18戦全勝10KO |
挑戦者 | アレハンドロ・バルデス(メキシコ) 戦績:27戦21勝15KO3敗3分 |
試合内容
ベネズエラ出身の全勝チャンピオン、ネオマール・セルメニョが、メキシコ出身のサウスポー、アレハンドロ・バルデスと激突するWBA暫定世界バンタム級タイトルマッチです。暫定チャンピオンのネオマール・セルメニョは、クリスチャン・ミハレスに判定勝ちを収め、全勝のままタイトルを獲得したテクニシャン。初防衛戦でもクリスチャン・ミハレスに勝利し、この試合が2度目の防衛戦になります。
一方、挑戦者のアレハンドロ・バルデスはワンツーを得意とする長身のサウスポー。2008年9月、長谷川穂積選手に挑戦してTKO負けを喫してしまいましたが、長いリーチを生かして悲願の世界タイトル奪取を狙います。左右の構えこそ違いますが、ネオマール・セルメニョもアレハンドロ・バルデスもテクニシャン。テクニック勝負を制するボクサーはどちらでしょうか?
試合は1ラウンドからアクシデントが発生する波乱の展開。1ラウンド2分、暫定チャンピオン、ネオマール・セルメニョがアレハンドロ・バルデスの懐へ飛び込み、右ストレートを顔面へ打ち込みます。その直後、ネオマール・セルメニョの頭が、アレハンドロ・バルデスの右目の上にぶつかり、アレハンドロ・バルデスがまぶたをカットしてしまいます。
「それほどキズは深くなさそうだけど、血が流れて目に入っちゃうよ。バルデスにとって、厳しい戦いになりそうだぞ」と試合の行方を見守る管理人。2ラウンドに入ると、アレハンドロ・バルデスがプレッシャーをかけながら右ジャブから左ストレートを狙います。負傷しているアレハンドロ・バルデスとしては、レフェリーにいつ試合を止められるか、わからないので、序盤からポイントを奪いに行く作戦のようです。
ところが、2ラウンド20秒、アレハンドロ・バルデスの左ストレートをかわしたネオマール・セルメニョが、右ストレートから返しの左フックを打ち込み、アレハンドロ・バルデスがダウン!気負って前へ出るアレハンドロ・バルデスの力を利用した見事なカウンターですね。さすがはシドニー・オリンピック出身のアマチュアエリートです。
さらに畳みかけるネオマール・セルメニョは、フットワークを使ってダメージ回復を図ろうとするアレハンドロ・バルデスをロープへ追い込み、右ストレートで2度目のダウンを奪います。暫定チャンピオンのネオマール・セルメニョにとっては最高の立ち上がり、挑戦者のアレハンドロ・バルデスにとっては最悪の立ち上がりですね。
ネオマール・セルメニョもアレハンドロ・バルデスも中間距離を得意とするテクニシャンですが、ボクシングスタイルには大きな違いがあります。小刻みなフットワーク、ボディーワークで常にポジションを変えながら戦うネオマール・セルメニョに対して、アレハンドロ・バルデスは真正面から飛び込んでパンチを打ち込もうとするタイプ。オフェンスはそれほど差がないように感じますが、ディフェンスはネオマール・セルメニョが一枚上のようです。
3ラウンド以降は、地元メキシコの大声援を受けて前へ出るアレハンドロ・バルデスに対して、ネオマール・セルメニョはカウンターを狙う展開。「ダウンのポイントを取り返したい」というアレハンドロ・バルデスの気迫がテレビ画面を通して伝わってきますが、ネオマール・セルメニョがフットワークを使って上手くアレハンドロ・バルデスのパンチを外していますね。
中盤以降はお互いが動きを止めず、ペースを握ろうとする展開が続き、迎えた11ラウンド。暫定チャンピオンのネオマール・セルメニョが勝負に出ます。スタミナが切れてきたアレハンドロ・バルデスを体でロープへ押し込み、ラウンド終了30秒前、右アッパー、左ジャブ、右ストレートの3連打でダウンを奪います。
2ラウンドのダウン以降、ポイントを奪い返すため、オーバーペースで試合を進めてきたアレハンドロ・バルデスは、フラフラになりながらも何とか立ち上がりますが、状態を確認したレフェリーが試合をストップ。ネオマール・セルメニョがアレハンドロ・バルデスに11ラウンドTKO勝ちを収め、暫定タイトル2度目の防衛に成功しました。
2ラウンドのダウンが最後まで響いた試合でしたね。ラウンド終盤、スタミナが落ちてきただけのネオマール・セルメニョに対して、アレハンドロ・バルデスはスタミナ切れとダメージの蓄積という二重苦を背負い、最後は両者の残っている力の差が、TKOという結果に表れたと思います。ネオマール・セルメニョは勝負どころを良く知っているボクサーで、サウスポーを苦にしない強さがありますね。
試合結果
試合結果 | ネオマール・セルメニョが11ラウンドTKO勝ちでタイトル防衛に成功。 |