WBA・WBO世界ライト級タイトルマッチ
チャンピオン | ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ) 戦績:57戦51勝37KO5敗1分 |
WBO暫定世界 ライト級チャンピオン |
マイケル・カチディス(オーストラリア) 戦績:29戦27勝22KO2敗 |
試合内容
世界中のボクシングファンが注目するチャンピオン対決がついに実現しました。3階級制覇を成し遂げたファン・マヌエル・マルケスと激しい打ち合いを得意とするマイケル・カチディスがお互いのプライドをかけて激突します。どちらも手数が多く、打ち合いを好むボクサーなので、打撃戦必至の激闘になりそうですね。
試合は、ガードを固めて距離を詰め、左右のフックを連打する超攻撃的なファイターのマイケル・カチディスに対して、攻防兼備のファン・マヌエル・マルケスが下がりながらガードの隙間を狙ってパンチを打ち込む打撃戦で始まります。予想通り、手数の多い打撃戦になりましたね。
試合が動いたのは3ラウンド。攻撃姿勢を強めよう前へ出てきたファン・マヌエル・マルケスの左フックに合わせて、マイケル・カチディスが強烈な左フックのカウンターをファン・マヌエル・マルケスのアゴに叩き込みます。次の瞬間、ファン・マヌエル・マルケスはそのまま後ろへゴロンと倒れてダウン!
「これはヤバい!モロにもらっちゃったよ」とテレビにかじりついてファン・マヌエル・マルケスのダメージを確認する管理人。タフなファン・マヌエル・マルケスは何とかダウンから立ち上がりましたが、ダメージはめちゃめちゃ深そうですね。マニー・パッキャオとの再戦で喫したダウンが管理人の脳裏によみがえります。
一気に畳みかけたいマイケル・カチディスはクラウチングスタイルで距離を詰め、ファン・マヌエル・マルケスの顔面、ボディーへパンチを打ち分けます。一方、ダウンを喫したファン・マヌエル・マルケスもコンパクトな左右のフック、アッパーで応戦し、得意のコンビネーションで絶体絶命のピンチを防ぎます。
「カチディスもすごいけど、マルケスもさすがだね。苦戦慣れしていると言うか、経験豊富と言うか、ダメージを負っている中、カチディス相手に打ち合ってピンチを脱出するなんて、マルケスだからこそできるボクシングだよ」とファン・マヌエル・マルケスのテクニックと経験を絶賛する管理人。
4ラウンドに入ると、ファン・マヌエル・マルケスが少し距離を取ってマイケル・カチディスにカウンターを打ち込みます。マイケル・カチディスはもっとダメージを与えたいと思うのですが、ファン・マヌエル・マルケスが上下にパンチを打ち分けて主導権を渡しません。特に左ボディーブローが強烈ですね。
6ラウンドに入ると、再びマイケル・カチディスがプレッシャーをかけ、ファン・マヌエル・マルケスをコーナーへ押し込んでパンチを連打します。一方のファン・マヌエル・マルケスもインサイドから回転の速いコンパクトなパンチで反撃。小さいパンチを連打する我慢比べが続いています。
7ラウンド、8ラウンドも同じような展開が続きますが、押し込んでいるマイケル・カチディスより、押し込まれているファン・マヌエル・マルケスのほうが的確にパンチを当て、ダメージを与えています。ファン・マヌエル・マルケスはアゴや肝臓などの急所、急所を確実にとらえる見事なパンチで盛り返していますね。
「マルケスのパンチのタイミングが合ってきたな。カチディスはギリギリの状態で戦っているよ」と思い始めた9ラウンド。マイケル・カチディスが勝負に出ます。ガードを高く構えて前進し、ファン・マヌエル・マルケスをロープへ追い込んで連打を狙います。
しかし、9ラウンド1分すぎ、一瞬のスキを突いて、ファン・マヌエル・マルケスが前進するマイケル・カチディスに強烈な右ストレートのカウンター!なおも前進を続けようとするマイケル・カチディスを待っていたのは、ファン・マヌエル・マルケス必殺の「インファイター殺し」でした。
右ストレートのカウンターを受けて棒立ちになったマイケル・カチディスに対して、ファン・マヌエル・マルケスはショートのコンビネーションから「インファイター殺し」の左右のアッパーを連打!このパンチがことごとくマイケル・カチディスのアゴを跳ね上げ、見る見るうちにマイケル・カチディスの体から力が抜けていきます。
これまで前進を続けてきたマイケル・カチディスが初めて後退した瞬間、ファン・マヌエル・マルケスが自分から距離を詰めて左右のアッパー、左右のフック、右ストレートのコンビネーションで追撃!相手の急所を打ち抜く「ボクシングの教科書」のような見事な連打です。
最後はファン・マヌエル・マルケスの右ストレートにマイケル・カチディスがよろけたところで、レフェリーが試合をストップ!凄まじい打撃戦の末、ファン・マヌエル・マルケスがマイケル・カチディスに9ラウンドTKO勝ちを収め、タイトル防衛に成功しました。ファン・ディアスとの初戦を彷彿とさせる見事なアッパーが炸裂しましたね。
まずはファン・マヌエル・マルケスとマイケル・カチディスの2人の戦士に大きな拍手を送りたいです。ボクシングの醍醐味が詰まった素晴らしい打撃戦でしたね。結果は経験とディフェンス技術で一枚上手のファン・マヌエル・マルケスが見事な逆転勝利を飾りましたが、マイケル・カチディスの善戦が今回の名勝負を生んだと思います。
正直なところ、ここまでマイケル・カチディスが善戦するとは予想していませんでした(マイケル・カチディスのファンの皆さん、すみません)。マイケル・カチディスの試合は毎回激しい打撃戦で「ダメージは大丈夫かな?」と心配になりますが、ボクシング界を見渡しても、これほど勇敢なファイターはいないのではないでしょうか。
そのマイケル・カチディスに勝ったファン・マヌエル・マルケスはやはり特別な存在ですね。3ラウンドのダウンを観た瞬間「もうダメだ」と思ったファン・マヌエル・マルケスのファンは管理人だけではないでしょう。「状況によって一番必要なボクシングを選択し、実践できる能力」こそ、ファン・マヌエル・マルケスの最大の強みだと思います。
勝ったファン・マヌエル・マルケスも敗れたマイケル・カチディスも「次の試合も応援したい!」と思わせてくれる真のプロフェッショナルですね。「素晴らしいボクサーが真っ向から激突し、拳が共鳴すると、これほどの感動が生まれるんだな」と改めて気付かせてくれたファン・マヌエル・マルケスとマイケル・カチディス。本当にカッコイイ!
試合結果
試合結果 | ファン・マヌエル・マルケスが9ラウンドTKO勝ちでタイトル防衛に成功。 |