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アミール・カーン対レイモント・ピーターソンの新旧チャンピオン対決

WBA・IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ

チャンピオン アミール・カーン(イギリス)
戦績:27戦26勝18KO1敗
挑戦者 レイモント・ピーターソン(アメリカ)
戦績:31戦29勝15KO1敗1分

アミール・カーン対レイモント・ピーターソンの試合内容

激戦のスーパーライト級で2本のベルトを手にするアミール・カーンとチャンピオン返り咲きを狙う攻防兼備のレイモント・ピーターソンが激突する注目のタイトルマッチです。スーパースター街道を突き進むアミール・カーンが元世界チャンピオンのレイモント・ピーターソンの挑戦を受ける楽しみな新旧対決ですね。

アミール・カーンは2011年7月、IBFチャンピオンのザブ・ジュダーに5ラウンドKO勝ちで王座統一戦に成功。今回は敵地アメリカに乗り込んで、WBAタイトルの6度目の防衛、IBFタイトルの初防衛を目指します。アウェイで曲者のレイモント・ピーターソンを撃破してボクシング界で確かな地位を確立することができるでしょうか?

一方のレイモント・ピーターソンは、力強いパンチとガッチリしたブロックを兼ね備えた元世界チャンピオン。唯一の敗北は、2009年12月に行われたティモシー・ブラッドリーとの王座統一戦で喫した判定負けだけです。IBFタイトルの挑戦者決定戦を制して2年ぶりにつかんだ世界戦で王座返り咲きを狙います。

イギリスが誇るボクシング界の若きスーパースター、アミール・カーンが敵地アメリカで「キング」のボクシングを見せつけるのでしょうか?それとも、レイモント・ピーターソンが粘り強いボクシングで世界タイトル奪還に成功するのでしょうか?スーパーライト級の行方を左右する大一番が幕を開けます。

試合は1ラウンドから大きく動きます。ゴングが鳴ると同時に、挑戦者のレイモント・ピーターソンが鋭い左ジャブを連打してチャンピオンのアミール・カーンを威嚇!この奇襲に対して、アミール・カーンはステップバックで距離を取り、打ち終わりを待って、速射砲のようなワンツーで応戦します。

「カーンもピーターソンも立ち上がりから気合い入りまくりだよ。スリリングな試合になりそうだぞ」とワクワクしながら観戦していると、1ラウンド中盤、アミール・カーンがレイモント・ピーターソンに左フックを当て、レイモント・ピーターソンが尻餅をつきます。

「あ、カーンがいきなりダウンを奪っちゃったよ!」と思ったのですが、レフェリーの判断はスリップダウン。リプレイをチェックすると、左フックが当たっていたように見えましたが、パンチが当たった瞬間、レフェリーがバランスを崩したレイモント・ピーターソンに足をとられ、見えていかなったかもしれませんね。

「カーンにとって、気の毒な判定だなあ」とアミール・カーンに同情する管理人。しかし、幻のダウンから1分後、アミール・カーンがレイモント・ピーターソンをロープへ詰め、左フックをもらいながらも、左フックを叩き込み、今度こそダウンを奪います。

「ダメージはそれほどないと思うけど、ピーターソンの動きはどうかな?カーンも飛び込むときにピーターソンの左フックをもらってるんで、ダメージがあるかもしれないよ」と1ラウンドのダウンを振り返る管理人。ダウンを奪ったボクサーはアミール・カーンでしたが、レイモント・ピーターソンの左フックも強烈でしたね。

2ラウンドに入ると、ダウンを奪ったアミール・カーンが持ち味のスピードと連打を生かして、一気に主導権を奪おうとします。一方のレイモント・ピーターソンはガードを固めて、アミール・カーンのパンチをブロックしながら距離を詰め、一発一発に力を込めたパンチの連打で応戦。どちらも1ラウンドのダメージを感じさせない動きです。

3ラウンドに入ると、レイモント・ピーターソンが距離を取ろうとするアミール・カーンを執拗に追い回し、接近戦に巻き込もうとします。レイモント・ピーターソンはアミール・カーンの左ジャブに右ストレートを合わせながら、アミール・カーンのリズムを消そうとしていますね。

「ありゃ?カーンが守勢にまわる場面が増えてきたぞ。目立ったクリーンヒットはないけど、ピーターソンはカーンに休む時間を与えないよう上手く戦ってるよ。カーンは持ち味を発揮するため、動き続けて距離を保てるかな?ピーターソンはカーンの持ち味を消すため、攻め続けて接近戦に持ち込めるかな?後半は我慢比べになりそうだぞ」と激しい消耗戦の行方に注目する管理人。

7ラウンドに入ると、アミール・カーンがボディーブローを使いながら、ガードを固めて飛び込んでくるレイモント・ピーターソンの突進を止めようとします。しかし、レイモント・ピーターソンはアミール・カーンの攻撃に耐えながらアミール・カーンをロープに押し込み、強烈な左ボディーブローをお返し!

「カーンが明らかに嫌がってるよ。ピーターソンの執拗な攻撃が実を結び始めたぞ」と思った7ラウンド終了間際、アミール・カーンが懐に飛び込んでくるレイモント・ピーターソンをプッシングで突き放したとして、1ポイント減点されてしまいます。接戦が続く展開で、1ポイント減点は痛いですね。

8ラウンドに入ると、勢いに乗るレイモント・ピーターソンがアミール・カーンをロープに詰めて、強烈な連打を浴びせます。アミール・カーンも速射砲のようなワンツーと右アッパーで応戦しますが、下がりながらパンチを打っているので、レイモント・ピーターソンの突進を止めるまでの威力はないようです。

「どっちにポイントが行ってもおかしくない、きわどいラウンドが続いているよ。少しでも楽をしようと考えたほうが主導権を奪われる凄まじい消耗戦になってきたなあ」という大接戦が続き、迎えた最終ラウンド。再びアミール・カーンがプッシングで1ポイント減点されてしまいます。

「いやー、この減点は痛い!勝敗に直結する減点になるかも」と思ったボクシングファンは管理人だけではないでしょう。その後、失ったポイントを取り戻そうと攻撃に出るアミール・カーンですが、レイモント・ピーターソンを倒しきることはできず、12ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。

勝敗は3人のジャッジに委ねられ、2人がレイモント・ピーターソン、1人がアミール・カーンを支持。大接戦の末、レイモント・ピーターソンがアミール・カーンに2-1の僅差の判定勝ちを収め、悲願の世界タイトル奪還に成功しました。

いやー、衝撃の結末でしたね!初回にダウンを奪われながら我慢して懐へ飛び込み、力強いパンチを打ち込み続けたレイモント・ピーターソンのボクシングが大きな実を結んだ試合でした。気迫を全面に押し出したボクシングで、「キング」アミール・カーンを王座から引きずり下ろしましたね。

一方、敗れたアミール・カーンにとっては少し気の毒な敗戦となりました。ただ、今のアミール・カーンに、苦しい状況を打破する「何か」が足りなかったことも事実だと思います。型にはまると圧倒的な強さを誇るアミール・カーンですが、「きれいなボクシング」をつぶされ、リズムを失ったときに、どうやって活路を見出すのか、今後の課題になりそうです。

おしまいに、アミール・カーンが宣告された2度の減点が試合の勝敗に影響したことが議論となり、再びレイモント・ピーターソンとアミール・カーンが拳を交える可能性が出てきました。初戦は接戦の末、世界中のボクシングファンが驚く結末を迎えました。再戦はどんな結末が待っているのでしょうか?タイトルと主役の座をかけたリマッチが、今から楽しみでたまらない管理人でした。

アミール・カーン対レイモント・ピーターソンの試合結果

試合結果 レイモント・ピーターソンが2-1の僅差の判定勝ちでタイトル奪取に成功。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 113-112(レイモント・ピーターソン)
  • 113-112(レイモント・ピーターソン)
  • 115-110(アミール・カーン)
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