WBO世界フェザー級タイトルマッチ

オルランド・サリド対ファン・マヌエル・ロペスの試合内容（後編）

オルランド・サリド対ファン・マヌエル・ロペスのリマッチ（前編）へ戻る

9ラウンドは、ボクシングの歴史に残る壮絶な打ち合いとなります。両者がリング中央で足を止めて、力強いパンチを連打！オルランド・サリドはボディーから顔面へ左右のフックを返し続け、ファン・マヌエル・ロペスは最後の力を振り絞って左右のフックと左ストレートを打ち続けます。

「壮絶な打ち合い！ラウンド終盤に来て、信じられない手数だよ！サリドもファンマも顔面が腫れ上がって、相当苦しそうだね。2人とも限界ギリギリで戦ってるもん。ものすごいファイティング・スピリットだよ」と両者に大きな拍手を送る管理人。目の前で繰り広げられるボクシングの歴史に残る名勝負に感動で心が震えています。

両者が死力を尽くして迎えた10ラウンド、壮絶な死闘が決着を迎えます。10ラウンドが始まると、オルランド・サリドが左ジャブを連打して距離をはかり、開始20秒、強烈な右フックをファン・マヌエル・ロペスのアゴに叩き込みます。

一瞬、動きが止まるファン・マヌエル・ロペス。「めっちゃ、効いた！」と叫んだ瞬間、オルランド・サリドが左アッパー、右アッパー、左フックで追撃し、ファン・マヌエル・ロペスからダウンを奪い返します！

【Photo:The Ring Magazine】

「うわっ、凄まじいコンビネーション！これは立てないでしょ」とオルランド・サリドの強烈な連打の余韻に浸っていると、ダウンを奪われたファン・マヌエル・ロペスがフラフラになりながら立ち上がり、試合続行の執念を見せます。

「うそっ！ファンマが立ち上がったよ。でも、ダメージが深すぎるでしょ」と思っていると、足元がおぼつかず、自分の体を支えられないファン・マヌエル・ロペスの状態を確認したレフェリーが試合をストップ！オルランド・サリドが壮絶な死闘の末、ファン・マヌエル・ロペスに10ラウンドTKO勝ちを飾り、タイトル防衛に成功しました。

とんでもない名勝負です！信じられないタフネスとスタミナを誇るオルランド・サリドがファン・マヌエル・ロペスの強打に耐え切り、最後は体力で押し切った試合でした。勝者はオルランド・サリドですが、一体誰がリベンジに失敗したファン・マヌエル・ロペスを非難することができるでしょうか？

試合後、ファン・マヌエル・ロペスがレフェリーに暴言を吐いて、1年の出場停止処分、1万ドルの罰金、100時間の社会奉仕活動という大きな代償を払ってしまったことはとても残念で、プロボクサーとしては悲しい姿です。しかし、それだけ思い入れが強い試合で、意識がもうろうとした状態での発言だったことも理解できます。

後日、ファン・マヌエル・ロペスは、レフェリーのロベルト・ラミレス・シニアに対して正式に謝罪。「サリド戦で吐いた暴言について謝罪したい。彼は世界で最も優秀なレフェリーのひとりで、サリド戦でも素晴らしい仕事をしてくれた。私をさらなるダメージから守ってくれたことに感謝したい」と謝罪と感謝の意を表明しました。

一方、ファン・マヌエル・ロペスを連続KOで撃破したオルランド・サリドは、一躍フェザー級の主役に踊り出ました。オルランド・サリドのボクシングは決してスタイリッシュではありませんが、打ち合ったら、とんでもない強さを発揮します。戦績だけで判断すると、痛い目にあいますよ。

タイトルを防衛したオルランド・サリドは11敗を喫していますが、そのうちの8敗はデビューから20戦（2001年）までに喫した黒星です。その後はファン・マヌエル・マルケスやユリオルキス・ガンボアなどの強豪にしか負けていないんですよ。しかも、21世紀に入ってKO負けは一度もありません。試合を重ねて勝ち方を覚えてきた代表的な「叩き上げファイター」です。

オルランド・サリドとファン・マヌエル・ロペスが持てる力をすべて発揮した壮絶なリマッチ。「究極の打ち合い」となった因縁の再戦は、ボクシングの歴史に残る名勝負として語り継がれていくと思います。「ボクシングの美学」が詰まった心が震える激闘の余韻が今も管理人を包み込んでいます。

オルランド・サリド対ファン・マヌエル・ロペスの試合結果