ノニト・ドネア対ギジェルモ・リゴンドーの試合内容(後編)
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WBAチャンピオンのギジェルモ・リゴンドーが、WBOチャンピオンのノニト・ドネアの攻撃を巧みに封じ込め、迎えた10ラウンド。開始のゴングが鳴ると同時にノニト・ドネアが猛然と襲いかかり、ギジェルモ・リゴンドーにプレッシャーをかけます。
「おおお、ドネアが勝負に出たね!ポイントは劣勢なはずなんで、ダウンを奪いたいよ」とノニト・ドネアの猛攻に大興奮の管理人。ノニト・ドネアらしくない大振りのボクシングですが、気持ちは倒す気満々ですね。
「さすがのリゴンドーも戸惑ってるね」と思っていると、10ラウンド40秒、ノニト・ドネアがクリンチを振りほどき、強烈な左フックをギジェルモ・リゴンドーの顔面に叩き込みます。「フィリピンの閃光」が「キューバのジャッカル」からダウンを奪います。
【Photo:The Ring Magazine】
「すげえ!気持ちで奪ったダウンだね。リゴンドーのダメージはどうだろう?ドネアはフィニッシュできるかな?」とギジェルモ・リゴンドーのダメージに注目する管理人。ギジェルモ・リゴンドーの状態をチェックする限り、それほど深いダメージは負っていないようです。
試合が再開され、追撃を狙うノニト・ドネア。しかし、ギジェルモ・リゴンドーが距離を保ちながらカウンターの左ストレートを打ち込み、ノニト・ドネアに追撃のチャンスを与えません。さすが、ギジェルモ・リゴンドー。ピンチを乗り切るボクシングを身につけていますね。
逆転KOを狙ったノニト・ドネアですが、最終ラウンドには、ギジェルモ・リゴンドーの強烈な左ストレートを浴び、右目が大きく腫れ上がる苦しい展開。ギジェルモ・リゴンドーが主導権を握ったまま、試合終了のゴングが鳴り響きます。
【Photo:The Ring Magazine】
2人の世界チャンピオンが拳を交えた「頂上決戦」の勝敗は、3人のジャッジに委ねられ、3人のジャッジすべてがギジェルモ・リゴンドーを支持。全勝チャンピオンのギジェルモ・リゴンドーが、4階級制覇のノニト・ドネアを撃破し、大金星を手にしました。
ギジェルモ・リゴンドーのテクニックとスピードが、ノニト・ドネアのパワーを封じ込めた試合でしたね。ギジェルモ・リゴンドーのチェンジ・オブ・ペースが見事に決まり、ノニト・ドネアが空回ってしまった印象でした。
ギジェルモ・リゴンドーが「ドネアよりアグレッシブに攻める」と公言したことで「もっとアグレッシブな試合になるかな?」と思ったのですが、試合が進むにつれて、玄人好みの試合になりましたね。息詰まる駆け引きに最後までハラハラしながら観戦しました。
【Photo:The Ring Magazine】
簡潔に言うと、ギジェルモ・リゴンドーもノニト・ドネアも最後まで自分の信念を貫いた試合だったと思います。勝利のために戦ったギジェルモ・リゴンドー。ファンのために戦ったノニト・ドネア。ノニト・ドネアがギジェルモ・リゴンドーと戦いたがらなかった理由のすべてが代弁された内容だったと思います。
試合後のインタビューで、ノニト・ドネアは「再戦したい」とコメントしていましたが、個人的に「えー!もう戦わなくていいんじゃないかな?」と思っています。正直なところ、内容は、ギジェルモ・リゴンドーの圧勝だったと思います。
でも、「リゴンドーとドネアのどちらの次戦が観たいか」と聞かれたら、迷わず、ノニト・ドネアを選びます。理由はシンプルで、ノニト・ドネアの戦う姿がギジェルモ・リゴンドーの戦う姿より、かっこいいからです。
おそらく、ノニト・ドネアは、ギジェルモ・リゴンドーと対戦すると、ボクシングファンを満足させられない試合になる確率が高いことを予感していたのではないでしょうか?
だからこそ、ギジェルモ・リゴンドー戦が決まってから、記者会見やインタビューのたびに「リゴンドーはすばらしいボクサー。ファンが期待する試合になると思うよ」とギジェルモ・リゴンドーにメッセージを送り続けたのだと思います。
ボクシングファンの皆さんがご存知のように、ノニト・ドネアは負けを恐れて戦うタイプのボクサーじゃありません。ノニト・ドネアにとって、負けることより、ファンを失望させてしまったことのほうが、はるかに悔しいはずです。
プロモーター間の亀裂がマッチメイクの弊害となり、ボクサーとファンが希望する試合が組めない時代に突入したボクシング界。ノニト・ドネアは、ボクサーのため、そして、ファンのために、先頭に立って、悪しき流れを打ち砕き、プロモーターの垣根を越えたビッグマッチを実現しようとしていました。
だからこそ、2012年に強豪ばかりと4試合を戦い、発言権を強めながら、ライバルプロモーターに所属するアブネル・マレスとの対戦を呼びかけ続けたのです。重量級や中量級と比べて、スポットライトが当たりにくいアメリカの軽量級で、ノニト・ドネアより「プロフェッショナル」と呼べるボクサーがいるでしょうか?
正直なところ、ギジェルモ・リゴンドー戦のノニト・ドネアは、ボクシングが大味で、出来もめっちゃ悪かったと思います。観戦したノニト・ドネアの試合で、フィジカルとメンタルのバランスが最も悪い内容でした。でも、ファン目線で言うと、ギジェルモ・リゴンドーと再戦して証明しなければならないものは何もない気がします。
2人の世界チャンピオンが激突した王座統一戦は「キューバのジャッカル」ギジェルモ・リゴンドーの圧巻のテクニックと「フィリピンの閃光」ノニト・ドネアの無念さが伝わってくる「頂上決戦」でした。12年ぶりの敗戦を喫したノニト・ドネアですが、輝きは色あせないと信じています。
ノニト・ドネア対ギジェルモ・リゴンドーの試合結果
試合結果 | ギジェルモ・リゴンドーが12ラウンド判定勝ち。王座統一に成功しました。 【公式ジャッジの採点結果】
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