一発で打ち倒す強打と鉄壁のガードを持つ「KOキング」
アルツール・アブラハムは、一撃で相手を失神させる強打と貝のようにガッチリしたブロックを武器に世界の頂点へ駆け上がったハードパンチャーです。フックが特に強いのですが、ストレート、アッパーも強烈ですよ。
アルメニア出身で、名前の「アルツール」を英語読みすると「アーサー」になることから「キング」のニックネームを持ち、主戦場としているドイツでは「超」が付く人気を誇ります。入場の時に「王冠」をかぶってリングインする姿はまさに「キング」ですね。
ボクシングスタイルは完全な攻防分離。攻撃する時は徹底的にパンチを集めて、守る時はガードを固めて相手のパンチをブロックするボクシングです。器用なボクサーではありませんが、相手を一撃で仕留める破壊力抜群のパンチが大きな魅力ですね。
アルツール・アブラハムの試合は「一瞬たりとも目が離せない」緊張感があるんです。アルツール・アブラハムの試合を観て、ボクシングが好きになったというファンもたくさんいるのではないでしょうか?
今や超人気ボクサーの仲間入りを果たしたアルツール・アブラハムは2003年にプロデビュー。デビューから14連続KO勝ちを含む連戦連勝を重ね、2005年12月、空位のIBF世界ミドル級タイトルをキンスリー・アイキキと争い、5ラウンドKO勝ちで獲得します。
世界タイトル獲得後も順調に防衛を重ね、迎えた2006年9月。ランキング1位の全勝挑戦者、エディソン・ミランダと3度目の防衛戦を行います。
この試合で、アルツール・アブラハムは序盤にアゴを骨折しながらも、12ラウンドを戦い抜き、判定で全勝対決に勝利します。驚異的な闘争心と精神力に「すごすぎる」と連発しながら観戦しました。
エディソン・ミランダ戦はアルツール・アブラハムを語るとき、絶対に欠かせない試合ですね。エディソン・ミランダがバッティングやローブローで合計5ポイントも減点され、物議を醸しましたが、不屈の闘志で文句なしの判定勝利を飾りました。
ボクシングファンの間で、すでに伝説の試合となっているエディソン・ミランダ戦。これから何十年も語り継がれること間違いなしです。「アルツール・アブラハムこそ、王様の中の王様」とめっちゃ感動した試合でした。
エディソン・ミランダ戦の後、アゴを手術したアルツール・アブラハムは8か月で戦線復帰。「もう少し休んだほうがいいじゃないかな?」と思ったのですが、復帰後も連続KO防衛を続け、圧巻強さは発揮します。
また、タイトルを防衛する一方、ノンタイトル戦で、アゴを打ち砕かれたエディソン・ミランダと再戦。4ラウンドTKO勝ちの完勝で、因縁の相手をリングに沈めました。
ミドル級戦線を見渡し、WBA世界ミドル級チャンピオンのフェリックス・シュトルムとWBC・WBO世界ミドル級チャンピオンのケリー・パブリック以外で、アルツール・アブラハムの相手になりそうなボクサーが見当たらず「統一戦の話が出てくるかな?」と思ったのですが、もっとエキサイティングな展開が待っていました。
10度目の防衛でマヒール・オラルを撃破したアルツール・アブラハムは、ミドル級のタイトルを返上し、世界的な人気と実力を誇る6人のボクサーがスーパーミドル級最強を決める「スーパーシックス・トーナメント」の参戦を表明したのです。
開幕戦の相手はジャーメイン・テイラー。結果は12ラウンド衝撃のKO勝ちで、世界中のボクシングファンに強烈な存在感をアピールする最高のスタートを切りました。
一気に主役に躍り出るチャンスをつかんだアルツール・アブラハム。ところが、ここから苦難の道に突入します。「スーパーシックス」の第2戦でアンドレ・ディレルと対戦し、まさかの11ラウンド判定負け。スリップダウンをしたアンドレ・ディレルにパンチを打ち込んでしまった末のプロ初黒星でした。
再起を誓うアルツール・アブラハムは2010年11月「スーパーシックス」の第3戦で空位のWBC世界スーパーミドル級タイトルをかけてカール・フロッチと激突。しかし、カール・フロッチの手数と強打に押し込まれる展開が続き、12ラウンド判定負けで2連敗を喫してしまいます。
ジャーメイン・テイラー戦のKO勝利がモノを言い、スーパーシックスの準決勝に進出したアルツール・アブラハム。しかし、2011年5月に行われた準決勝でアンドレ・ウォードに完敗を喫してしまい、スーパーシックス敗退となってしまいます。
「スーパーシックス」でまさかの3敗を喫してしまったアルツール・アブラハム。しかし、復活をかける「キング」は2012年8月、WBO世界スーパーミドル級チャンピオンのロバート・スティーグリッツに挑戦し、12ラウンド判定勝ち。2階級制覇を達成し、復活をアピールします。
2階級制覇を成し遂げたアルツール・アブラハムは2012年12月、初防衛戦でメディ・ブラドゥラと対戦。アルツール・アブラハムは粘る挑戦者を真っ向からパワーでねじ伏せ、8ラウンドTKO勝ちで初防衛に成功しました。
初防衛戦で勝利を手にしたアルツール・アブラハムは2013年3月、ロバート・スティーグリッツと再戦で激突。しかし、結果はまさかの4ラウンド負傷TKO負け。ロバート・スティーグリッツのパワフルな攻撃を受け、腫れ上がった左目が痛々しい王座陥落でした。
再戦に敗れたアルツール・アブラハムは、2014年3月、ロバート・スティーグリッツに奪われたタイトルを奪還するため、ラバーマッチで激突。ロバート・スティーグリッツの攻撃的なボクシングに苦しめられたアルツール・アブラハムですが、最終ラウンドにダウンを奪い、12ラウンド僅差の判定勝ちを飾ります。1勝1敗で迎えたラバーマッチに終止符を打つ王座返り咲きでした。
挫折を味わいながら、復活の2階級制覇を達成したアルツール・アブラハム。復権を果たした「KOキング」は再び世界の頂点へ返り咲くことができるでしょうか?わかりやすいボクシングでファンを魅了するアルツール・アブラハムの復活に期待しましょう。
アルツール・アブラハムのプロフィール
| 出身 | アルメニア |
| 国籍 | ドイツ |
| 誕生日 | 1980年2月20日 |
| ニックネーム | キング |
| 戦績 | 43戦38勝28KO4敗 |
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