抜群のスピードと驚異の身体能力を誇る強打のサウスポー
アメリカ出身のチャド・ドーソンは、重量級離れした抜群のスピードとパワフルな一撃を兼ね備えたサウスポーです。
ニックネームは「バッド」。日本語で「すごいヤツ」という異名を持つチャド・ドーソンは、191センチの身長と194センチのリーチを生かして、中間距離から相手を圧倒するボクシングで世界中のボクシングファンを魅了しています。
チャド・ドーソンのボクシングを支える生命線は、重量級離れした圧倒的なスピード。動きのスピードだけでなく、パンチのスピードも抜群に速いんです。しかも、リーチが長く、相手のパンチが届かない距離で戦うことができるサウスポー。クレバーなアウトボクシングは超一級品です。
チャド・ドーソンの調子を左右するキーパンチは、鋭くて重い右ジャブ。右ジャブを連打して、自分から積極的に試合をコントロールしようとしているときのチャド・ドーソンは、手に負えない強さを発揮します。右ジャブから左ストレート、右フックの返しが得意のコンビネーションです。
捨てパンチが少なく、一撃の破壊力はトップクラスですが、慎重に試合を進めて「勝ちにこだわるボクシング」に徹するので、KO率は意外と低いんです。
無理をしてKOを狙いに行けば、倒して勝てるボクサーだと思います。でも、リスクを回避する能力こそ、チャド・ドーソンの強さの秘密なんですよね。
高い身体能力と抜群のボクシングセンスを持つチャド・ドーソンは2001年8月にプロデビュー。スティーブ・ギャレットに2ラウンドTKO勝ちを飾り、期待通りの実力をアピールします。ちなみに、デビュー当時の階級はミドル級でした。
デビュー戦を白星で飾ったチャド・ドーソンは、ミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級と階級を上げながら、1無効試合をはさんで22連勝を記録し、迎えた2007年2月。WBC世界ライトヘビー級チャンピオンのトマス・アダメクに挑戦するチャンスを手にします。
世界中のボクシングファンが注目する23戦無敗を誇る若き挑戦者のチャド・ドーソンと31戦全勝を誇る安定チャンピオンのトマス・アダメクの対決は、チャド・ドーソンがトマス・アダメクに大差の判定勝ちを飾り、初の世界戦でタイトル奪取に成功。アメリカ期待のホープが世界の頂点に輝いた瞬間でした。
ケリー・パブリック、ポール・ウィリアムスと並び「アメリカ新時代の旗手」として期待されるチャド・ドーソン。一時代を築いたグレン・ジョンソンやアントニオ・ターバーを撃破してライトヘビー級の地位を確立し、迎えた2010年8月。「ライトヘビー級最強」の称号をかけてジャン・パスカルと激突します。
抜群のスピードを誇るジャン・パスカルとチャド・ドーソンの王座統一戦は、偶然のバッティングで11ラウンド続行不能となるアクシデントの末、チャド・ドーソンがジャン・パスカルに負傷判定負け。プロ初黒星を喫し、王座から陥落してしまいます。
無念の初黒星を喫したチャド・ドーソンは2011年5月、再起戦で世界チャンピオンの最高齢記録を樹立したバーナード・ホプキンスへの挑戦権をかけて、元世界チャンピオンのアドリアン・ディアコヌと対戦。結果は、チャド・ドーソンが大差の判定勝ちを飾り、タイトル挑戦権を手にしました。
再び世界チャンピオンに返り咲くチャンスを手にしたチャド・ドーソンは2011年10月、「戦う伝説」バーナード・ホプキンスと激突。世界中のボクシングファンが熱戦を期待した新旧対決でしたが、結果は後味の悪い無効試合。必勝を誓ったチャド・ドーソンですが、世界タイトルを取り戻すことはできませんでした。
「打倒ホプキンス」と王座返り咲きに執念を燃やすチャド・ドーソンは2012年4月、再びバーナード・ホプキンスと激突します。結果は、チャド・ドーソンの12ラウンド判定勝ち。初戦の反省を生かし、冷静な試合運びに徹したチャド・ドーソンがバーナード・ホプキンスのペースに巻き込まれることなく、2年ぶりの世界タイトル奪取を成し遂げた試合でした。
世界チャンピオンに返り咲いたチャド・ドーソンは2012年9月、スーパーミドル級へ階級を下げ、アンドレ・ウォードに挑戦。しかし、結果は3度のダウンを奪われる屈辱のTKO負け。減量苦の影響もあり、なす術なく黒星を喫した完敗でした。
再起をかけるチャド・ドーソンは2013年6月、本来のライトヘビー級へ戻り、WBCタイトルの初防衛戦を行います。挑戦者は開催地のカナダを主戦場とするアドニス・スティーブンソン。結果はまさかの1ラウンドTKO負け。アドニス・スティーブンソンのワンパンチに沈んだ王座陥落でした。
衝撃の王座陥落となったチャド・ドーソンは2014年6月の再起戦でベテランのジョージ・ブレイズと激突します。結果は、2度のダウンを奪う1ラウンドKO勝ち。1年ぶりの再起戦で自慢のパワーとスピードをアピールし、ベテランのジョージ・ブレイズに快勝しました。
恵まれたフィジカルと抜群スピードを兼ね備え、強豪を相手にトップ戦線で戦い続けるチャド・ドーソン。世界中のボクシングファンを魅了する強打のサウスポーは、さらなるビッグマッチで存在感をアピールし、誰もが認める実力とボクシングセンスを証明することができるでしょうか?ライトヘビー級最強を目指すチャド・ドーソンの挑戦に注目ですね。
チャド・ドーソンのプロフィール
ニックネーム | バッド |
誕生日 | 1982年7月13日 |
戦績 | 37戦32勝18KO3敗2無効試合 |
獲得タイトル |
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