驚異のリーチから放たれる強打と連打が魅力の「パニッシャー」
アメリカ出身のポール・ウィリアムスは、身長185センチ、リーチ208センチの恵まれた体格から放たれる連打が魅力のサウスポーです。ニックネームは「パニッシャー」。日本語で「罰を与える者」を意味する異名を誇るポール・ウィリアムスのボクシングは、対戦相手にとって大きな脅威となっています。
ポール・ウィリアムスのボクシングの特徴は、何と言っても208センチのリーチを生かした攻撃。208センチと言えば、ヘビー級並のリーチの長さです。ムチのようにしなるスナッピーなパンチが、対戦相手のパンチが届かない距離から飛んでくるんです。しかも、長身のサウスポー。懐がめっちゃ深いんですよ。
驚異のリーチを誇るポール・ウィリアムスですが、実は打ち合いが大好き。強気な性格で、足を止めて打ち合いで勝負しようとします。パンチをもらってしまうこともありますが、打ち出したら止まらない連打で対戦相手を屈服させるボクシングは、めちゃめちゃエキサイティングです。
右ジャブを突いて距離をはかり、左ストレートを打ち込むボクシングが基本ですが、接近戦になると、長いリーチをたたんで、回転の速いパンチを連打します。しかも、左右のフック、アッパーを上下に打ち分けることができるんです。体は大きいですが、すごく器用なボクサーだと思います。
ポール・ウィリアムスの性格を考えると、恵まれた体格を生かしてアウトボクシングをするより、強打と連打を発揮できる接近戦で打ち合うほうが好きなのでしょう。「誰と打ち合っても、打ち勝てる」という自信とやる気に満ち溢れているところが、ポール・ウィリアムスの大きな魅力だと思います。
驚異のリーチと熱いハートを兼ね備えたポール・ウィリアムスは2000年7月にプロデビュー。ジェレミー・ミケルソンに4ラウンド判定勝ちでデビュー戦を白星で飾ります。その後も着実に白星を重ね、デビューから連勝を32に伸ばして迎えた2007年7月。初の世界タイトル挑戦のチャンスを手にします。
ポール・ウィリアムスを迎え撃つチャンピオンはアントニオ・マルガリート。WBO世界ウェルター級タイトルを5年間で7度の防衛に成功しているタフなファイターです。結果は、壮絶な死闘の末、ポール・ウィリアムスがアントニオ・マルガリートに12ラウンド判定勝ち。全勝で世界の頂点に君臨した瞬間でした。
強豪のアントニオ・マルガリートに勝利したことで、ポール・ウィリアムスの評価は急上昇。2008年2月、初防衛戦で同じサウスポーのカルロス・キンタナと対戦します。世界中のボクシングファンが、ポール・ウィリアムスのKO防衛を期待した試合でした。
しかし、結果は、ポール・ウィリアムスがカルロス・キンタナにまさかの12ラウンド判定負けを喫して王座陥落。新時代のスーパースター候補として、アメリカのボクシングファンの大きな期待を背負ったポール・ウィリアムスですが、動きに精彩を欠き、屈辱のプロ初黒星を喫した初防衛戦でした。
わずか1試合で評価を大きく落としてしまったポール・ウィリアムスは2008年6月、失ったプライドと王座を奪い返すため、カルロス・キンタナと再戦。リベンジに燃えるポール・ウィリアムスはカルロス・キンタナに衝撃の1ラウンドTKO勝ちでタイトル奪還に成功。最高の形でリベンジを果たします。
輝きを取り戻したポール・ウィリアムスは2008年11月、WBO世界スーパーウェルター級暫定タイトルをかけてバーノ・フィリップスと激突。試合は、ポール・ウィリアムスがバーノ・フィリップスを終始圧倒して8ラウンド終了TKO勝ち。完璧なボクシングを披露し、2階級制覇を達成しました。
2階級制覇を成し遂げたポール・ウィリアムスは、その後、ロナルド・ライトに12ラウンド判定勝ち、セルヒオ・マルチネスに12ラウンド判定勝ち、カーミット・シントロンに4ラウンド負傷判定勝ちを飾り、次々と強豪を撃破します。スーパーファイト3連勝に「ポール・ウィリアムス時代」の到来を予感したボクシングファンは管理人だけではないと思います。
快進撃を続けるポール・ウィリアムスは2010年11月、3階級制覇を目指してWBC世界ミドル級チャンピオンのセルヒオ・マルチネスに挑戦。3階級制覇を目指したポール・ウィリアムですが、リベンジに燃える「驚異の男」が快進撃を続けるポール・ウィリアムスの前に立ちふさがります。
序盤からお互いのプライドがぶつかり合う打撃戦は、フェイントの応酬の末、セルヒオ・マルチネスがポール・ウィリアムスをワンパンチでリングに沈める衝撃の2ラウンドKO勝ち。新時代のスーパースターとして誰よりも期待されるポール・ウィリアムスが顔面から崩れ落ちたKO負けに言葉を失った試合でした。
衝撃のKO負けから8か月が経過した2011年7月。リングに戻ってきたポール・ウィリアムスは再起戦でエリスランディ・ララと対戦。世界中のボクシングファンが注目するサウスポー対決は、大接戦の末、ポール・ウィリアムスがエリスランディ・ララに12ラウンド僅差の判定勝ち。きわどい判定が論議を呼んだ試合でしたが、辛くも勝利を収め、トップ戦線に生き残りました。
再起戦で勝利を飾ったポール・ウィリアムスは2012年2月、日本の石田順裕選手と激突。結果は、ポール・ウィリアムスが石田順裕選手を終始コントロールして12ラウンド大差の判定勝ち。3人のジャッジがすべてフルマークをつける快勝で、復調をアピールしました。
30歳を過ぎ「引退の時期が近づいている。その前にビッグマッチを実現したい」と語っていたポール・ウィリアムスは2012年5月、無敗の快進撃を続ける「メキシコの至宝」サウル・アルバレスと9月にラスベガスで対決するチャンスを手にします。
念願のビッグマッチへ向けて意気込むポール・ウィリアムス。しかし、わずか数日後に事態は急変。ポール・ウィリアムスはバイクを運転中、乱暴運転の車を避けるため転倒し、脊髄損傷の重傷を負ってしまったのです。事故の後遺症で下半身に麻痺が残り、歩くことさえできなくなってしまいました。
恵まれた体格を生かした好戦的なボクシングで、数々の激闘を演じてきたポール・ウィリアムス。ケリー・パブリック、チャド・ドーソンと並び、「アメリカ新世代の三銃士」として期待されたサウスポーは、不運な事故でリングに別れを告げることになりました。ポール・ウィリアムスの一日も早い回復を心から祈っています!
ポール・ウィリアムスのプロフィール
本名 | ポール・ウィリアムス |
ニックネーム | パニッシャー(The Punisher) |
誕生日 | 1981年7月27日 |
戦績 | 43戦41勝27KO2敗 |
獲得タイトル |
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