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エリック・モラレス

引退から復活!不屈の闘志で4階級制覇を達成したメキシコが誇る「恐怖の男」

メキシコ出身のエリック・モラレスは、20世紀の終わりにメキメキと頭角を現し、当時、「軽量級で一番強い」と思ったボクサーです。特に、スーパーバンタム級時代のモラレスは鬼神のような強さで、「パウンド・フォー・パウンド」の称号に値するほどの試合内容が続きました。

エリック・モラレスが初の世界タイトルを獲得したのは1997年。辰吉丈一郎選手と激闘を演じたダニエル・サラゴサが持つWBC世界スーパーバンタム級タイトルに挑戦し、11ラウンドTKO勝利。ダニエル・サラゴサを終始圧倒する完璧な内容で、その後は長期政権を築きます。

2000年にWBC世界スーパーバンタム級タイトルを返上するまで、7連続KO勝利を含む9度の防衛に成功。「恐怖の男(エル・テリブレ)」のニックネーム通りの激しい戦いをみせます。

当時のエリック・モラレスは、テクニックよりパワーで相手を圧倒するボクシングで、エリック・モラレスの試合を観るたび「同じ時代に生まれた挑戦者はかわいそうだな」といつも思っていました。それほど、エリック・モラレスの強さは際立っていたんです。

しかし、スーパーバンタム級では長身と言える173センチの身長が、エリック・モラレスに「減量」という、もうひとつの試練を与えていたのも事実。管理人が知る限り、減量との戦いは本当にきつかったと思います。

「モラレスが負けるとしたら、減量失敗による体調不良かな」と思っていた矢先、9度目の防衛戦の相手に同じメキシコ出身のWBO世界スーパーバンタム級チャンピオン、マルコ・アントニオ・バレラとの王座統一戦が浮上したのです。

「メキシコ人最強」の称号とプライドを賭けた王座統一戦は壮絶な打撃戦となり、最終ラウンドにダウンを奪われたエリック・モラレスは大苦戦の末、なんとか勝利。しかし、今もなお、マルコ・アントニオ・バレラの勝利を支持する声は多く、採点結果がこれほど大きな議論を呼んだ試合は他にないと思います。

マルコ・アントニオ・バレラとの王座統一戦を制したエリック・モラレスは、フェザー級へ転向を表明。やはり、減量との戦いが相当厳しかったのでしょう。フェザー級へ転向後、2000年にWBC暫定世界フェザー級タイトルをケビン・ケリーと争い、7ラウンドTKOで2階級制覇に成功します。

2001年には、チャンピオンのグティ・エスパダス・ジュニアと王座統一戦を行い、12ラウンドの激闘の末、きわどい判定勝ちをおさめ、正王者へ昇格しました。ただ、フェザー級ではスーパーバンタム級ほどの体格的なアドバンテージはなく、KO狙いの激しいボクシングからテクニックを重視した戦い方へ徐々にスタイルチェンジしていきます。

スタイルチェンジをしながら、迎えた2002年。前回壮絶な死闘を演じた宿敵、マルコ・アントニオ・バレラとの再戦が決定します。両者が激しく打ち合い続けた初戦とはガラリと変わって、エリック・モラレスは距離を取りながら戦う作戦を選びます。

結果的に、この作戦が裏目に出たのか、再戦は終始前に出続けたマルコ・アントニオ・バレラの姿勢をジャッジが支持(しかし、この判定も微妙で、モラレスを支持する声もかなり多かったです)。12ラウンド判定の末、初の黒星を喫してしまいます。

その後、空位となった同タイトルをポーリー・アヤラと争い、再びタイトルを獲得。その後、スーパーフェザー級へ転向し、2004年2月にヘスス・チャベスが保持するWBC世界スーパーフェザー級タイトルに挑戦します。

試合中に右腕を負傷したヘスス・チャベスから2度のダウンを奪う圧勝で、フリオ・セサール・チャベス以来、メキシコ人2人目となる3階級制覇を達成。しかし、同じ年の11月、宿敵のマルコ・アントニオ・バレラとの3度目の決戦で、壮絶な打撃戦の末、きわどい判定負けを喫し、タイトル防衛に失敗します。

その後、難敵のマニー・パッキャオと3度戦いますが、初のKO負けを含む1勝2敗で、世代交代を感じさせる結果に終わります(初戦はモラレスの判定勝ち、2戦目、3戦目はパッキャオのTKO勝ち)。マニー・パッキャオはエリック・モラレスとマルコ・アントニオ・バレラに勝利したことで、軽量級で絶対的な地位を獲得することになります。

2007年8月、エリック・モラレスがボクサー人生最後の大勝負に挑みます。メキシコ人初の4階級制覇と自らの引退をかけ、デビッド・ディアスの持つWBC世界ライト級タイトルへ挑戦。1ラウンドにダウンを奪いますが、結果は3-0の判定負け。4階級制覇に失敗したエリック・モラレスは、試合後に引退を表明しました。

衝撃の引退から2年7か月の月日が流れた2010年3月。リングから離れていた「恐怖の男」がホセ・アルファロ戦で現役復帰を果たします。12ラウンド判定勝ちで復帰戦に勝利すると、その後、2連勝を飾り、迎えた2011年4月。メキシコ人ボクサー初の4階級制覇をかけて強打を誇るマルコス・マイダナと激突します。

試合前の予想は「マルコス・マイダナの有利」。しかし、試合は、エリック・モラレスが経験を生かしたボクシングで、マルコス・マイダナと真っ向から勝負する展開が続きます。結果は、判定負けで4階級制覇に失敗しますが、「恐怖の男」の健在ぶりをアピールした試合でした。

2011年9月、悲願の4階級制覇を目指すエリック・モラレスは、空位のWBC世界スーパーライト級タイトルをかけてパブロ・セサール・カノと拳を交えます。結果は、エリック・モラレスの10ラウンド終了TKO勝ち。ホルヘ・アルセに続くメキシコ人ボクサー2人目の4階級制覇を成し遂げた瞬間でした。

4階級制覇を達成したエリック・モラレスは2012年3月の初防衛戦で全勝ホープのダニー・ガルシアと対戦。まさかの計量失敗で、試合前にタイトルを剥奪されたエリック・モラレスは、試合でも新鋭のダニー・ガルシアに圧倒され、屈辱の敗北を味わいます。

リベンジに燃えるエリック・モラレスは2012年10月、再びダニー・ガルシアと対戦。失ったベルトを取り戻す再戦に挑んだエリック・モラレスですが、結果は4ラウンドKO負け。「恐怖の男」がダニー・ガルシアのボクシングに圧倒された完敗でした。

打たれたら打ち返すボクシングで絶大な人気を誇るエリック・モラレス。数々の名勝負をボクシングの歴史に残し続ける「恐怖の男」は、敗北を糧に不屈の闘志で再び世界チャンピオンに返り咲くことができるでしょうか?メキシコが誇る超人気ボクサーの最終章に注目です。

エリック・モラレスが出場した試合観戦レビュー

2012年10月 ダニー・ガルシア対エリック・モラレスのリマッチ
2012年03月 エリック・モラレス対ダニー・ガルシアの新旧対決
2011年09月 4階級制覇へ!エリック・モラレス対パブロ・セサール・カノ
2011年04月 マルコス・マイダナ対エリック・モラレスの暫定王座決定戦
2007年08月 エリック・モラレスがデビッド・ディアスに挑戦

エリック・モラレスの関連ニュース

2012/10/20 エリック・モラレスは再戦でガルシアの勢いを止められるか
2012/10/19 ダニー・ガルシア「再戦でエリック・モラレスをKOする」
2012/08/20 ダニー・ガルシア対エリック・モラレスのリマッチが決定

エリック・モラレスのプロフィール

本名 エリック・モラレス
誕生日 1976年09月01日
ニックネーム エル・テリブレ(恐怖の男)
生涯戦績 61戦52勝36KO9敗
獲得タイトル
  • WBC世界スーパーバンタム級タイトル
  • WBC世界フェザー級タイトル
  • WBC世界スーパーフェザー級タイトル
  • IBF世界スーパーフェザー級タイトル
  • WBC世界スーパーライト級タイトル
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WBC世界スーパーフェザー級チャンピオンの三浦隆司選手も同じイベントに登場します。

テレビ放送日時 11月21日(土)HBOでPPVライブ中継(アメリカ)
11月22日(日)WOWOWで11時から生中継(日本)
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