ウェルター級10回戦
WBAスーパーライト級5位 | ビクター・オルティス(アメリカ) 戦績:27戦24勝19KO2敗1分 |
元WBO中南米スーパー ウェルター級チャンピオン |
アントニオ・ディアス(メキシコ) 戦績:52戦46勝29KO5敗1分 |
試合内容
好戦的なサウスポー、ビクター・オルティスが、50戦以上のキャリアを誇るベテランボクサー、アントニオ・ディアスと激突するウェルター級10回戦です。WBA世界スーパーライト級暫定王座決定戦で、マルコス・マイダナと倒し倒されの激闘を演じたビクター・オルティス。悲願の世界タイトル獲得へ向け、再起戦に挑みます。
試合は、お互いが真っ向から打ち合うスリリングな展開。サウスポーのビクター・オルティスは、持ち味のスピードを生かして右ジャブから左ストレートのコンビネーションをアントニオ・ディアスの顔面、ボディーへ打ち分けます。一方のアントニオ・ディアスは、ビクター・オルティスの入り際に合わせてカウンターを狙う作戦のようです。
「スピード、パンチ力はオルティスに分がありそうだぞ。ディアスは、それらの差を経験で埋められるかな?もし埋められないなら、ラウンドが進むにつれて、ディアスは苦しくなりそうだなあ」というのが1ラウンドを観た感想です。お互い、相手のパンチを警戒しながらも「自分のパンチを打ち込んでやる」という闘志が感じられる試合ですね。
ビクター・オルティスがスピードでアントニオ・ディアスを揺さぶりながら、少しずつペースを握りかけた3ラウンド。試合が一気に動きます。ラウンド中盤、アントニオ・ディアスのロングの右フックがビクター・オルティスのアゴをかすめます。
上体をそらしてパンチの直撃を避けたビクター・オルティスですが、一瞬腰が落ち、大きくバランスを崩してしまいます。「あ、効いた!」と叫ぶ管理人。ところが、ビクター・オルティスは崩れた体勢のまま、左ストレートを放って反撃に出ます。このパンチがアントニオ・ディアスのアゴを直撃し、まさかのダウン!
「なんじゃ、そりゃ!」と思わず叫んでしまう管理人。倒されそうになったボクサーが、バランスを崩しながら打ったパンチでダウンを奪っちゃいました!管理人以上に驚いたのは、ダウンしたアントニオ・ディアスでしょう。右フックを打ち込み、さらに追い打ちをかけようとしたところにパンチが飛んできたのですから。「何でオレが倒れているんだろう?」と思っているのではないでしょうか?
バランスが崩れた状態で放ったパンチなので、体重はそれほど乗っていないと思いますが、カウンターで、しかもアゴを完璧にとらえたため、想像以上にダメージがありそうです。このダウンで気を良くしたのか、試合のペースは一気にビクター・オルティスへ傾きます。
何とかポイントを挽回しようと前へ出るアントニオ・ディアスに対して、ビクター・オルティスは「打っては離れる」スピードを生かしたボクシングでアントニオ・ディアスを空回りさせ、反撃を許しません。6ラウンド中盤には、ビクター・オルティスの右ジャブでアントニオ・ディアスが左目をカット。さらに、ラウンド終了間際には、ビクター・オルティスの左ストレートがアントニオ・ディアスのアゴをとらえ、アントニオ・ディアスの腰が落ちます。
「ディアスはオルティスのスピードについて行けないなあ。目をカットしちゃったし、めちゃめちゃ苦しくなってきたよ」と試合の行方を見守る管理人。すると、6ラウンド終了後、アントニオ・ディアス陣営が「これ以上、試合続行は難しい」と判断し、試合放棄を申し入れます。その結果、ビクター・オルティスがアントニオ・ディアスにTKO勝ちを収め、再起戦を勝利で飾りました。
マルコス・マイダナ戦の黒星のショックが心配されたビクター・オルティスですが、問題なさそうですね。1、2ラウンドこそ、慎重に慎重を重ねて戦っていましたが、3ラウンドにダウンを奪うと、それ以降はシェーン・モズリーやアントニオ・マルガリートと世界タイトルマッチを戦った経験を持つアントニオ・ディアスを圧倒していたと思います。
打ち合いに行ったとき、ガードが下がり、相手のパンチ(特に左右のフック)をもらってしまうクセが気になるところですが、ビクター・オルティスの持ち味であるスピードを最大限に生かすため、このボクシングスタイルを貫いているのでしょう。近い将来、再び世界タイトル挑戦のチャンスが巡ってきそうなので、今度こそチャンスをモノにしたいですね。
試合結果
試合結果 | ビクター・オルティスが6ラウンド終了TKO勝ちで再起戦に勝利。 |