WBA世界ミドル級タイトルマッチ
チャンピオン | フェリックス・シュトルム(ドイツ) 戦績:35戦32勝14KO2敗1分 |
挑戦者 | コーレン・ゲボル(アルメニア) 戦績:33戦30勝16KO3敗 |
試合内容
2009年4月、全勝で初の世界タイトルに挑戦した佐藤幸治選手に7ラウンドTKO勝ちを収め、日本のボクシングファンに改めて強さを証明したフェリックス・シュトルムが、回転の速い連打を武器に戦う好戦的なサウスポー、コーレン・ゲボルを迎えて7度目の防衛戦を行います。フェリックス・シュトルムのテクニックか?コーレン・ゲボルの連打か?楽しみな対決ですね。
試合序盤、ペースを握ったのは挑戦者のコーレン・ゲボル。2度目の世界挑戦(初の世界戦はアルツール・アブラハムに11ラウンドKO負け)で悲願のタイトル奪取に執念を燃やすコーレン・ゲボルは、チャンピオンのフェリックス・シュトルムに体を預けてショートの連打を打ち込み、フェリックス・シュトルムに攻撃のチャンスを与えません。
「シュトルムは相手が攻撃すると、ガードに徹する攻防分離のボクサーなので、クリーンヒットこそ少ないけど、この作戦は有効だよ。ゲボルはどこまで連打を続けることができるかな?」と興味津々です。3ラウンド終了間際には、コーレン・ゲボルの左フックでフェリックス・シュトルムが倒れる場面がありましたが、レフェリーの判断はスリップダウン。テレビのリプレイを観ると、角度によってはテンプルに当たったように観え、ダウンを取ってもおかしくないパンチでしたね。
ダウンを奪うことはできなかったものの、勢いに乗るコーレン・ゲボルは4ラウンドも開始直後から体を密着させて上下に連打を打ち分けます。一方のフェリックス・シュトルムも足を止めて接近戦で応戦。「完全にスタミナ勝負になりそうだぞ。パンチによるダメージ蓄積が重なると、スタミナが切れる後半は特に苦しくなるので、相手のクリーンヒットを避けるディフェンス技術が勝敗のカギを握るかも」と息詰まる接近戦に管理人も思わず拳を握ってしまいます。お互いにボディーブローを打ち込む場面が増え、いよいよ我慢比べになってきました。
6ラウンドに入ると、フェリックス・シュトルムが接近戦の打ち合いを避け、得意の左ジャブと左フックでコーレン・ゲボルの前進を止めようとします。7ラウンドに入ると、オーバーペースの影響か、コーレン・ゲボルの手数が減り、フェリックス・シュトルムがディフェンスから攻撃へ移行。コーレン・ゲボルが入ってくるところへ左ボディーブロー、右アッパーを打ち込み、タフな挑戦者にダメージを与えます。
一進一退の攻防で迎えた終盤戦、試合を有利に進めたのはチャンピオンのフェリックス・シュトルム。序盤のオーバーペースによるスタミナ切れ、パンチによるダメージの蓄積で失速するコーレン・ゲボルに対して、フェリックス・シュトルムは左ジャブで突き放し、懐へ飛び込んできたところへカウンターの左フック、右アッパーを打ち込み、前半失ったポイントを奪い返し、12ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。
結果は3人のジャッジすべてがチャンピオンのフェリックス・シュトルムを支持し、フェリックス・シュトルムが苦戦しながらも7度目の防衛に成功しました。フェリックス・シュトルムの単発のクリーンヒットを取るか、コーレン・ゲボルのブロックの上を打つ連打を取るか、難しい採点でしたが、打たせずに打ったフェリックス・シュトルムに勝利の軍配が上がりました。
「ミドル級タイトルをすべて統一し、スーパーミドル、ライトヘビーの3階級制覇を目指す」と公言するフェリックス・シュトルムですが、この試合は攻防分離の弱点が出てしまったようです。今後はコーレン・ゲボルのような反撃の機会を与えないほどパンチを連打するボクサー、ケリー・パブリックのような一撃一撃に力を込めてパンチを打ち込むボクサー相手にどう戦うか、課題が見えた気がします。と言っても、鉄壁のガードは健在で、打たせずに勝つところはさすがです。
試合結果
試合結果 | フェリックス・シュトルムが12ラウンド判定勝ちで7度目の防衛に成功。管理人の採点は114-114で引き分けでした。 【公式ジャッジの採点結果】
|