WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
チャンピオン | ビタリ・タイベルト(ドイツ) 戦績:21戦20勝6KO1敗 |
挑戦者 | 粟生隆寛(日本) 戦績:22戦19勝9KO2敗1分 |
試合内容
日本ボクシング界の次世代のエース、粟生隆寛(あおう・たかひろ)選手が攻防兼備のテクニシャン、ビタリ・タイベルトの持つWBC世界スーパーフェザー級タイトルに挑戦します。粟生隆寛選手が勝てば2階級制覇、ビタリ・タイベルトが勝てば2度目のタイトル防衛となるボクシングファン必見の好カードですね。
試合は挑戦者の粟生隆寛選手が積極的に攻める展開で始まります。粟生隆寛選手は左ストレートを上下に散らしながらプレッシャーをかけています。一方、チャンピオンのビタリ・タイベルトは粟生隆寛選手の飛び込みに合わせて、左フックのカウンターを狙っているようです。お互い、手数が多く、序盤からバチバチの打撃戦を展開していますね。
粟生隆寛選手がプレッシャーをかけ、ビタリ・タイベルトが距離を取ろうとする展開が続き、迎えた3ラウンド。試合が大きく動きます。ラウンド中盤、粟生隆寛選手がビタリ・タイベルトに左ボディーブローを打ち込み、ビタリ・タイベルトの動きが一瞬止まります。
クリンチで追撃を逃れたビタリ・タイベルトが左フックで反撃しようとしたところへ、粟生隆寛選手の強烈な左ストレートのカウンターがビタリ・タイベルトのアゴにクリーンヒット!粟生隆寛選手のベストショットをもらったビタリ・タイベルトはそのまま後ろへゴロンと倒れ、粟生隆寛選手がダウンを奪います。
「よいしょ!これはめちゃめちゃ効いたよ」と応援に力が入る管理人。ダウンから立ち上がったビタリ・タイベルトですが、足に力が入らないほどダメージを抱えているようです。一気に畳みかけたい粟生隆寛選手は冷静に顔面、ボディーへパンチを打ち分け、確実にダメージを与えます。
4ラウンドに入ると、チャンピオンのビタリ・タイベルトが左フックから右ストレート中心のボクシングに切り替え、勝負をかけようとする粟生隆寛選手にカウンターを叩き込みながらピンチを脱出。粟生隆寛選手のプレッシャーを感じながらも、さすがは軽量級屈指のテクニシャン、ビタリ・タイベルトですね。粟生隆寛選手は一発を狙いすぎてパンチが出ない悪循環に陥っているようです。
「タイベルトは粟生選手が打つと必ず打ち返してくるよ。粟生選手はコンパクトなパンチを急所に連打して、後半勝負に持ち込みたいよ」と試合の行方を見守る管理人。6ラウンドに入ると、粟生隆寛選手の顔面、ボディーへパンチを打ち分けるボクシングが復活し、ビタリ・タイベルトから主導権を奪い返します。
粟生隆寛選手はビタリ・タイベルトに最初のパンチを外されても、すぐに追撃に行くことで、ビタリ・タイベルトの反撃を防いでいます。スタミナが切れ始めて苦しくなる後半戦で、これだけ動けるとは濃密な練習を重ねてきた証拠ですね。一方のビタリ・タイベルトはスタミナ切れとパンチのダメージで少しずつ動きが鈍ってきました。
9ラウンド終盤には、粟生隆寛選手がビタリ・タイベルトに強烈な左ボディーブローを連打し、再びビタリ・タイベルトの左フックに合わせて、左ストレートのカウンターを顔面に叩き込みます!ラウンド終了間際には、粟生隆寛選手の左ストレートをブロックしたビタリ・タイベルトがロープまで後退するなど、粟生隆寛選手が試合を支配していますね。
その後も粟生隆寛選手のペースで試合が進み、最終ラウンド終了のゴングが鳴り響きます。結果は3人のジャッジすべてが粟生隆寛選手を支持。「次世代のエース」粟生隆寛選手がビタリ・タイベルトに3-0の判定勝ちを収め、見事に2階級制覇を達成しました。
粟生隆寛選手の手数、パンチの的中率がビタリ・タイベルトのテクニックを上回った試合でしたね。試合前は「タイベルトのボクシングに空回らなければいいんだけど…」と思っていましたが、粟生隆寛選手は常にプレッシャーをかけて自分の距離を保ち、ビタリ・タイベルト相手に圧巻のボクシングで2本目の世界チャンピオンベルトを手にしました。
まだ26歳と若い粟生隆寛選手。今後はスーパーフェザー級の世界タイトル防衛を重ねて、減量がきつくなれば、さらに階級を上げて3階級制覇を狙ってほしいですね。粟生隆寛選手には常に世界チャンピオンとして日本ボクシング界を引っ張ってほしいです。
今回の2階級制覇は通過点。粟生隆寛選手ならライト級、スーパーライト級と4階級制覇も夢じゃないと思います。管理人が思うに、4階級制覇を成し遂げる可能性を秘めた日本人ボクサーは粟生隆寛選手だけなんですよ。そのためにも、持ち味の攻撃力を生かしながら、ガードを含めたディフェンスをどれだけ強化(進化)できるかがポイントになりそうです。
「モンスターレフト」を武器に圧巻の防衛を続ける「世界のニシオカ」西岡利晃選手、復帰戦で2階級制覇を達成した「日本のエース」長谷川穂積選手、全戦全勝を続ける「日本人最強の拳を持つ男」内山高志選手、そして「次世代のエース」粟生隆寛選手。2011年は世界を意識する日本人ボクサーが世界を舞台に活躍する試合が見られるかもしれませんね。
試合結果
試合結果 | 粟生隆寛が12ラウンド判定勝ちで2階級制覇に成功。 【公式ジャッジの採点結果】
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