IBF世界スーパーミドル級タイトルマッチ

ルシアン・ビュテ対カール・フロッチの試合内容

サウスポーから繰り出される芸術的なカウンターを武器に全勝の快進撃を続けるIBF世界スーパーミドル級チャンピオンのルシアン・ビュテが、敵地イギリスへ乗り込んで、元世界チャンピオンのカール・フロッチと拳を交えます。めちゃめちゃ楽しみな実力者対決ですね！

ルーマニア出身でカナダを主戦場にしてきたルシアン・ビュテにとって、今回の防衛戦は初の敵地開催です。「スーパーミドル級最強」を決める「スーパーシックス」に出場せず、独自路線で防衛を続けてきたルシアン・ビュテの真価が問われる防衛戦ですね。

一方、「スーパーシックス」で準優勝を飾ったカール・フロッチは地元で王座返り咲きを狙います。プロで2敗を喫しているカール・フロッチですが、世界中のボクシングファンを熱狂させる破壊力抜群の攻撃は大きな魅力です。

スーパーミドル級の完全制覇へ向けて動き出したルシアン・ビュテが敵地で10度目の防衛に成功するのでしょうか？それとも、カール・フロッチが全勝王者を打ち破り、王座返り咲きを果たすのでしょうか？ビッグマッチの幕が開けます。

試合は、チャンピオンのルシアン・ビュテが上半身を小刻みに振りながらプレッシャーをかけ、挑戦者のカール・フロッチが後ろに下がりながら左右の強打を打ち込む展開で始まります。ルシアン・ビュテは1ラウンドから倒す気満々ですね。

「ビュテがいきなり出てきたね。一方のフロッチはかなりビュテのパンチを警戒してるみたい。全く予想してなかった立ち上がりだよ」と両者のボクシングに注目する管理人。

「地元のフロッチは立ち上がりからガンガン攻撃に行くんじゃないかな？逆に、ビュテはまず様子を見てくるだろうなあ」という試合前の予想が思い切り外れちゃいました。予想していなかったので、より一段とスリリングに感じる1ラウンドの攻防です。

2ラウンドに入ると、カール・フロッチが手数を増やして、ルシアン・ビュテの前進を止めようとします。カール・フロッチは力強い左ジャブを連打。ルシアン・ビュテはカウンターを狙いますが、カール・フロッチも打たれたら必ず打ち返して簡単に主導権を渡しません。

【Photo:The Ring Magazine】

「めちゃめちゃ緊張感のある試合だぞ。どっちが倒れてもおかしくないよ。さあ、どっちが主導権を握るかな？」と息詰まる展開にハラハラドキドキの管理人。どちらも一発で試合を終わらせるパンチを持っているので、目が離せませんね。

3ラウンドは、お互いが鋭いジャブをリング中央で突き合う展開が続き、迎えた1分すぎ。カール・フロッチが左右のフックを連打し、カール・フロッチの右フックがルシアン・ビュテのアゴを打ち抜きます。

両手を広げて「効いてないよ」とアピールしながら後退するルシアン・ビュテ。一気に攻勢を強めるカール・フロッチはルシアン・ビュテをロープへ詰めて、強烈なフックを連打！ルシアン・ビュテはボディーワークを駆使して必死によけていますが、明らかにダメージがありますね。

「ビュテ、危ないよ。めちゃめちゃ『目のいい』ビュテだけど、ダメージで反射神経が鈍っているんで、クリンチでしのぐか、思い切り距離を取ったほうがいいんじゃないかな？逆に、フロッチは試合を決めるチャンスだよ」と序盤のヤマ場に大興奮の管理人。

4ラウンドに入ると、ルシアン・ビュテが自分から前へ出て、カール・フロッチの攻撃を防ごうとします。一方のカール・フロッチは、ルシアン・ビュテの強打を警戒しながら中間距離で戦っていますね。

「フロッチはチャンスなんだけどなあ。ビュテのカウンターをかなり警戒してるね。ビュテはこのままダメージ回復に努めたいよ」と思っていると、4ラウンド中盤、意を決したカール・フロッチが勝負に出ます。

ところが、カール・フロッチが出てきた瞬間、ルシアン・ビュテが絶妙な左ストレートのカウンターをカール・フロッチのアゴに叩き込みます。「おおお、ナイスカウンター！」とルシアン・ビュテの「伝家の宝刀」に拍手を送る管理人。

少し浅かったですが、並のボクサーなら倒れてもおかしくないパンチです。しかし、驚異のタフネスを誇るカール・フロッチは、被弾しながら距離を詰め、左右のフックをお返しします。

さらに畳みかけるカール・フロッチはラウンド終了間際、ルシアン・ビュテをロープへ詰めて、強烈なパンチを連打！ルシアン・ビュテはゴングに救われましたが、足元がフラフラしていますね。

「ダメージ、めっちゃ深いよ。苦戦慣れしているフロッチとは対照的に、ビュテは苦戦した経験がほとんどないもんな。このピンチをどうやって乗り切るんだろう？打たれ強いわけじゃないから、打ち合って局面を打開する選択肢は厳しいよね？」と大ピンチに陥ったルシアン・ビュテのボクシングに注目する管理人。

5ラウンドに入ると、地元の大声援を受けるカール・フロッチが一気に勝負を決めにいきます。ルシアン・ビュテをロープへ詰めて、強烈な右ストレートと左右のフックを連打。ルシアン・ビュテはガードを固めて耐えようとしますが、ダメージの影響で体に力が入らずギリギリの状態で踏ん張っています。

「ビュテはいよいよ苦しくなってきたね」と思い始めた5ラウンド45秒。カール・フロッチがルシアン・ビュテをロープへ詰めて、再びパンチを連打します。ガードを固めて必死に耐えようとするルシアン・ビュテですが、カール・フロッチのパンチがガードを突き破って、ルシアン・ビュテの顔面を打ち抜きます。

最後は、カール・フロッチの連打を浴び、ルシアン・ビュテの体が沈んだところで勝負あり。カール・フロッチが全勝チャンピオンのルシアン・ビュテを5ラウンドTKOで撃破し、地元イギリスのファンの前で王座返り咲きに成功しました。

【Photo:The Ring Magazine】

劇的な幕切れでしたね。カール・フロッチの破壊力抜群の連打と驚異的なタフネスがルシアン・ビュテのテクニックを上回った試合でした。全勝のルシアン・ビュテをストップしたことで、カール・フロッチに対する評価が再び上がったのでしょうか？

一方、敗れたルシアン・ビュテにとっては予想外のプロ初黒星だったと思います。カナダを主戦場にするルシアン・ビュテは同じくカナダを主戦場にするジャン・パスカルと人気を二分するスーパースターです。

ライバルのジャン・パスカルがカール・フロッチにプロ初黒星を喫していることから「敵地で勝って、実力を証明してやろう」という野望があったと思います。しかし、ルシアン・ビュテの野望はイギリスで夢と散ってしまいました。

ちなみに、カール・フロッチとルシアン・ビュテは開催地をカナダに移して再戦する可能性が浮上しています。今回の結果は衝撃のTKOでしたが、内容は紙一重だったので、再戦が実現したら、再び手に汗握る熱戦が繰り広げられそうです。

地元イギリスで大きな存在感を発揮したカール・フロッチ。世界王者に返り咲いた「コブラ」が再びスーパーミドル級戦線に旋風を巻き起こしてくれそうです。「コブラに噛みつかれると、こうなっちゃうんだよなあ」と改めて実感した管理人でした。

ルシアン・ビュテ対カール・フロッチの試合結果

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