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バーナード・ホプキンス(後編)

ボクシング史上最年長で世界タイトル奪取と統一に成功した「戦う伝説」

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オスカー・デラホーヤを撃破し、ボクシング史上初めて主要4団体の世界タイトルを統一したバーナード・ホプキンスの評価は急上昇!IBF世界ミドル級タイトルの防衛回数は19回。足かけ9年の大記録です。

2005年1月に40回目の誕生日を迎えたバーナード・ホプキンスは、2005年2月、自身が持つミドル級タイトルの連続防衛記録更新をかけ、ガイアナ出身のハワード・イーストマンと対決します。試合は、バーナード・ホプキンスが序盤から有利に試合を進め、12ラウンド判定勝ち。IBF世界ミドル級タイトルの20回目の防衛に成功します。

「ジョー・ルイスが持つ連続防衛記録25回を更新するかもしれないなあ」と思ったボクシングファンは管理人だけではないと思います。しかし、2005年7月、無敗の五輪メダリストが、バーナード・ホプキンスの前に立ちはだかったのです。

挑戦者の名前はジャーメイン・テイラー。シドニーオリンピックで銅メダルを獲得した若き挑戦者はバーナード・ホプキンスの老獪(ろうかい)なボクシングに対して、左ジャブ、右ストレートを中心とした正攻法で真っ向からぶつかります。

結果は3人のジャッジに委ねられ、2-1の判定でジャーメイン・テイラーの勝利。ボクシング史上最強のヒールが4つのチャンピオンベルトを手放した瞬間でした。

リベンジに燃えるバーナード・ホプキンスですが、2005年12月に行われた再戦でも、3-0の判定(3人ジャッジすべてが115-113でジャーメイン・テイラーを支持)で敗れ、10年間保持したチャンピオンベルトを取り戻すことはできず、ライトヘビー級へ転向することを決意します。

ライトヘビー級転向後は、世界タイトルに固執することなく、ビッグネームと戦うことを優先。2006年6月には、ロイ・ジョーンズに衝撃的なKO勝ちを収めたアントニオ・ターバーを大差の判定で下します。

さらに、2007年7月には、元3団体統一世界スーパーウェルター級チャンピオンで技巧派サウスポーのロナルド・ライトに12ラウンド判定勝ち。テクニシャン対決を制して、健在ぶりを強烈にアピールします。

2008年4月には、全勝の快進撃を続ける3団体統一世界スーパーミドル級チャンピオンのジョー・カルザゲに2-1の判定負けを喫しますが、2008年10月に「次世代のスーパースター」ケリー・パブリックに大差の判定勝ちを飾り、輝きを取り戻します。

2010年4月には、ロイ・ジョーンズと17年越しの再戦で激突。バーナード・ホプキンスは大差の判定勝ちで宿命のライバルにリベンジを果たしました。

因縁の対決に終止符を打ったバーナード・ホプキンスは次なるターゲットをWBC世界ライトヘビー級チャンピオンのジャン・パスカルに定め、ボクシング史上最年長での世界タイトル奪取を狙います。

世界中のボクシングファンが注目したバーナード・ホプキンス対ジャン・パスカルの激戦は、きわどい判定の末、引き分けに終わります。タイトル奪取にあと一歩届きませんでしたが、ダイレクトリマッチが決定します。

バーナード・ホプキンス対ジャン・パスカルの再戦も再びクロスゲームとなり、勝敗は3人のジャッジに委ねられます。結果は、バーナード・ホプキンスの判定勝ち。バーナード・ホプキンスが46歳4か月で世界タイトル奪取に成功し、ボクシングの歴史に新しい1ページを追加しました。

大記録の樹立を成し遂げたバーナード・ホプキンスですが、2011年10月に行われた初防衛戦でチャド・ドーソンに2ラウンドTKO負けを喫して王座陥落。チャド・ドーソンに持ち上げられ、リングに落ちた際、左肩を強打して試合続行不可能と判断され、TKO負けとなった結果に激しく抗議をします。その後、TKO負けから無効試合に変更されましたが、後味の悪い試合でした。

遺恨試合から6か月の月日が流れた2012年4月。バーナード・ホプキンスとチャド・ドーソンの因縁の再戦がセットアップされます。世界中のボクシングファンが注目した因縁の新旧対決でしたが、結果はバーナード・ホプキンスの12ラウンド判定負け。チャド・ドーソンのスピードと連打に老獪なボクシングを封じられ、王座を失った無念の敗戦でした。

王座から陥落したバーナード・ホプキンスは、長期の休養を経て、2013年3月、IBF世界ライトヘビー級チャンピオンのタボリス・クラウドに挑戦。48歳1か月で、自らが持つ世界タイトル奪取の最年長記録の更新を狙います。

結果は、12ラウンド判定勝ちでタイトル奪取に成功。絶妙な駆け引きで、タボリス・クラウドの強打を封じ込め、大記録の更新を達成しました。48歳になった今も試合運びの巧みさは相変わらずで、若手のホープを最も対戦させたくないボクサーですね。

48歳で世界チャンピオンに返り咲いたバーナード・ホプキンスは2013年10月、カロ・ムラートを迎えて初防衛戦を行います。結果は、バーナード・ホプキンスの12ラウンド判定勝ち。「死刑執行人」から「エイリアン」へニックネームを変更してリングへ上がった「戦う伝説」が最後までKOを狙ってパンチを浴びせた、めちゃめちゃ印象的な初防衛戦でした。

世界タイトルの最年長防衛記録を更新したバーナード・ホプキンスは2014年4月、WBA世界ライトヘビー級チャンピオンのベイブト・シュメノフと王座統一戦で激突。結果は、バーナード・ホプキンスの12ラウンド判定勝ち。49歳になった「戦う伝説」が、11ラウンドに強烈な右ストレートでダウンを奪い、次元の違う「エイリアンぶり」を見せつけた圧巻の王座統一戦でした。

王座統一に成功したバーナード・ホプキンスは2014年11月、WBOチャンピオンのセルゲイ・コバレフと激突します。さらなるベルト奪取を目指したバーナード・ホプキンスでしたが、結果は12ラウンド大差の判定負け。2015年1月に迎える50回目の誕生日を目前に世界タイトルを失ってしまう痛恨の黒星でした。

パンチ力、スタミナこそ、全盛期と比べて衰えをみせていますが、対戦相手に主導権を握らせないボクシングは健在です。試合の流れを読む洞察力もさることながら、高度なディフェンス技術がバーナード・ホプキンスを支えていると思います。

クリーンヒットをもらわないよう、自分の距離を保ちながら、常に頭の位置を変えて戦い、相手が懐に飛び込むと、絶妙なクリンチで連続攻撃を許さない経験とテクニック。「エイリアン」はすべてのボクサーのなかで最もリングに沈めることが難しい「戦う伝説」ではないでしょうか?

バーナード・ホプキンスのプロフィール

誕生日 1965年1月15日
戦績 66戦55勝32KO7敗2分2無効試合
ニックネーム
  • 死刑執行人
  • エイリアン
獲得タイトル
  • IBF世界ミドル級タイトル(10年間で20度防衛)
  • WBC世界ミドル級タイトル
  • WBA世界ミドル級タイトル
  • WBO世界ミドル級タイトル
  • WBC世界ライトヘビー級タイトル
  • IBF世界ライトヘビー級タイトル
  • WBA世界ライトヘビー級タイトル
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