回転の速い連打と幅広いボクシングスタイルを持つ勇敢なメキシカン
メキシコ出身のウンベルト・ソトは、上下に打ち分ける回転の速い連打と抜群の当て勘を武器に3階級制覇を達成したボクサーです。ガツンと一発で試合を終わらせるタイプではなく、的確なパンチの連打で相手をギブアップに追い込む典型的なタイプですね。
負けん気が強く、接近戦の打ち合いを好む傾向にありますが、アウトボクシングをすることもできます。インファイトでもアウトボクシングでも戦える「幅広いボクシング」は、対戦相手にとって一番厄介なウンベルト・ソトの特徴です。
立ち上がりはインファイトを仕掛けることが多いです。インファイトで勝負できそうなら、そのまま接近戦を続け、「今回は接近戦で戦うと苦しいかな?」と感じると、すぐにアウトボクシングに作戦を切り替えるんです。
試合中に作戦をスパッと切り替えて、それを確実に実行できる適応力はウンベルト・ソトの特筆すべき才能のひとつだと思います。流れの変え方がとても上手なボクサーなんです。
ウンベルト・ソトの最大の魅力は、どのパンチもスムーズに連打できることです。左ジャブ、右ストレート、左右のフック、右アッパーをガードの隙間や空いている場所を狙って上下に打ち分けます。
数あるパンチの中で絶大な効果を発揮するのが左右のアッパー。接近戦のフィニッシュブローとして、中間距離の「インファイター殺し」として、めちゃめちゃ有効なパンチですね。
1997年9月にプロデビューを果たしたウンベルト・ソトは、わずか3年で20試合を戦いますが、戦績は14勝4敗2分。決して優れた戦績ではありませんでした。
しかし、21世紀に入ると急激に力を付け、2005年8月、初の世界戦となるWBC世界フェザー級暫定王座決定戦に出場するチャンスを手にします。
対戦相手はシドニーオリンピックで銀メダルを獲得したアマチュア出身のリカルド・フアレス。結果は「叩き上げ」のウンベルト・ソトが23戦全勝のエリートボクサー、リカルド・フアレスにプロ初黒星を付ける僅差の判定勝ちで暫定タイトル奪取に成功します。
2007年11月には、2階級制覇を目指してWBO世界スーパーフェザー級チャンピオンのホアン・グスマンに挑戦。5年間無敗のウンベルト・ソトでしたが、結果はホアン・グスマンのスピードに翻弄され、大差の判定負けで2階級制覇に失敗してしまいます。
不屈の闘志で2階級制覇を狙うウンベルト・ソトは2008年10月、WBC世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦でガマリエル・ディアスと激突。初回にダウンを奪ったウンベルト・ソトが試合の主導権を握り、10ラウンド終了TKO勝ちで2階級制覇を達成します。
2010年3月には、3階級制覇をかけてデビッド・ディアスとWBC世界ライト級王座決定戦を行い、12ラウンド大差の判定勝ち。戦いながら強くなってきたウンベルト・ソトがメキシコ人ボクサーとして7人目となる3階級制覇を成し遂げた瞬間でした。
2012年6月には、4階級制覇とさらなるビッグマッチを求めてスーパーライト級へ転向。アルゼンチンが誇る強打者のルーカス・マティセと対戦しますが、ハードパンチを浴び、5ラウンド終了TKO負けを喫してしまいます。体格差を顕著に感じる無念の敗戦でした。
実戦を重ねながら幅広いボクシングを確立してきたウンベルト・ソト。プロのリングで60試合以上戦ってきた「叩き上げ」の勝負師は、四角いリングに身を置きながら生き残るためのボクシングを手に入れ、3階級制覇を達成しました。
4階級制覇を目指して新しい歩みを始めたウンベルト・ソトの野望に注目しながら、テクニックを駆使した幅広いボクシングと試合の駆け引きを堪能しましょう。
ウンベルト・ソトの主な試合結果
2012年06月 | ウンベルト・ソト対ルーカス・マティセ |
2010年12月 | ウンベルト・ソト対ウルバノ・アンティロン |
2010年03月 | ウンベルト・ソト対デビッド・ディアス |
2009年12月 | ウンベルト・ソト対ヘスス・チャベス |
2007年11月 | ウンベルト・ソト対ホアン・グスマン |
ウンベルト・ソトのプロフィール
本名 | アルマンド・ウンベルト・ソト |
ニックネーム | ソリータ(キツネ) |
誕生日 | 1980年5月11日 |
戦績 | 69戦58勝34KO8敗2分1無効試合 |
獲得タイトル |
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