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ビック・ダルチニャンとアブネル・マレスの新旧バンタム級対決

IBOバンタム級タイトルマッチ

元2階級制覇
チャンピオン
ビック・ダルチニャン(オーストラリア・アルメニア出身)
戦績:38戦35勝27KO2敗1分
WBC世界
バンタム級4位
アブネル・マレス(メキシコ)
戦績:21戦20勝13KO1分

試合内容

抜群のタイミングを誇る強打で2階級制覇を達成したビック・ダルチニャンと、アテネオリンピック出場経験を持つ無敗のアブネル・マレスが拳を交えるバンタム級トーナメント決勝進出をかけたビッグマッチです。変則ファイターのビック・ダルチニャンと基本に忠実なアブネル・マレスの好対照なボクサー対決ですね。

バンタム級トーナメントとは、ビック・ダルチニャン、アブネル・マレス、ヨニー・ペレス、ジョセフ・アグベコの4人で優勝をかけて争うバンタム級のサバイバルトーナメントです。なお、ヨニー・ペレスとジョセフ・アグベコの対決はジョセフ・アグベコが判定勝ちを収め、一足先に決勝戦進出を決めています。

激戦のバンタム級で存在感をアピールし、バンタム級トーナメント決勝に駒を進めるボクサーはベテランのビック・ダルチニャンでしょうか?それとも、新鋭のアブネル・マレスでしょうか?ボクシングファン注目の新旧対決のゴングが鳴り響きます。

試合は開始直後から自慢の強打を振り回すビック・ダルチニャンに対して、アブネル・マレスが真正面から応戦する展開で始まります。アブネル・マレスはパンチを打って、ビック・ダルチニャンの前進を止める作戦のようです。どちらのパンチが当たっても倒れそうな距離で戦っていますね。

「緊張感のある立ち上がりだな。それにしても、マレスは勇敢だよ。ダルチニャン相手に真っ向勝負だもんな」というのが1ラウンドを観た率直な感想です。2ラウンドに入ると、どちらも主導権を奪うため、手数を増やし、攻撃の姿勢を強めます。

そして迎えた2ラウンド中盤。ビック・ダルチニャンの左ストレートがアブネル・マレスのアゴをとらえ、アブネル・マレスがキャンバスに手をついてダウン。肉体的なダメージはそれほどない印象ですが、ビック・ダルチニャンは気分を良くしたと思います。ビック・ダルチニャンが持つ当て勘の良さが出ましたね。

3ラウンドに入ると、ダウンを奪われたアブネル・マレスがポイントを取り返そうとプレッシャーを強めます。左ジャブを突きながらガンガン前へ出て右ストレートを打ち込んでいますね。一方のビック・ダルチニャンは後ろに下がりながら、左ストレートと右フックのカウンターを狙っているようです。

4ラウンドもアブネル・マレスが前へ出て反撃しますが、ラウンド中盤、ローブローによる減点1を取られてしまい、アブネル・マレスにとって苦しい展開が続きます。「これはダルチニャンのペースになりそうだぞ」と思ったのですが、5ラウンドに入ると、アブネル・マレスがギアを一段上げて勝負に出ます。

アブネル・マレスは、これまでのコンパクトなパンチから力強いパンチに切り替え、相打ち覚悟でビック・ダルチニャンに攻撃を仕掛けます。6ラウンドにはアブネル・マレスがビック・ダルチニャンをロープへ詰めてボディーを連打するなど、アブネル・マレスが少しずつ盛り返してきましたね。

「ダルチニャンはボディーを完全に嫌がっているよ。マレスはしつこく攻撃できれば後半勝負に持ち込めるんじゃない?」と試合の行方を見守る管理人。すると、7ラウンド中盤、ビック・ダルチニャンが飛び込んできた瞬間、アブネル・マレスが左ジャブのカウンターを叩き込み、ビック・ダルチニャンからダウンを奪い返します。

ダメージのないスリップ気味のダウンでしたが、アブネル・マレスにとっては幸運な、ビック・ダルチニャンにとっては不運なダウンですね。このダウンで気を良くしたアブネル・マレスはこの後もガンガン前へ出てパンチを上下に打ち分け、序盤に失ったポイントを取り戻します。

試合終盤はどちらも疲れで動きが鈍る中、大きな白星を手にするため、最後までパンチを出し続けて試合終了。勝敗は3人のジャッジに委ねられ、結果は2人がアブネル・マレス、1人がビック・ダルチニャンを支持。アブネル・マレスがビック・ダルチニャンに12ラウンド僅差の判定勝ちを収め、バンタム級トーナメント決勝進出を決めました。

本当に際どい判定でしたが、結果的にアブネル・マレスの勝利への執念がビック・ダルチニャンの突進力とパワーを封じ込めた試合でしたね。スタイリッシュなボクシングが持ち味のアブネル・マレスがなりふり構わず攻撃に出続け、ビック・ダルチニャンに逆転勝利を手にしました。

この結果、バンタム級トーナメントの決勝戦はアブネル・マレス対ジョセフ・アグベコ、3位決定戦はビック・ダルチニャン対ヨニー・ペレスの対決に決まりました。ビック・ダルチニャンとジョセフ・アグベコヨニー・ペレスとアブネル・マレスはすでに対戦経験があるので、個人的には決勝戦も3位決定戦も興味深い対戦になったと思います。アブネル・マレスのボクシングがジョセフ・アグベコに通用するのか、楽しみですね。

ビック・ダルチニャン対アブネル・マレスの試合結果

試合結果 アブネル・マレスが僅差の判定勝ちでタイトル奪取に成功。バンタム級トーナメント決勝進出を決めました。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 115-111(アブネル・マレス)
  • 115-112(アブネル・マレス)
  • 115-111(ビック・ダルチニャン)
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