ワンパンチで流れを変えるパワーとタイミングを兼ね備えた好戦的ボクサー
メキシコ出身のラファエル・マルケスは、一撃で相手をリングに沈めるパワーとタイミングを兼ね備えた好戦的なボクサーです。長いリーチと深い懐を生かした中間距離のボクシングを得意としていますが、勇敢で負けん気が強く、真っ向から相手の土俵(接近戦)で打ち合うことも多いため、倒し倒されのスリリングな打撃戦になることが多いんです。
「ラファエル・マルケスの試合にハズレなし」と言われる激しい打撃戦は、母国メキシコだけでなく、世界中のボクシングファンから高く評価され、絶大な人気を誇ります。しかも、男前!勇敢で負けん気の強いところは、マルケス兄弟の兄で打たれたら絶対に打ち返す「メキシコの戦士」ファン・マヌエル・マルケスにそっくりですね。
兄のファン・マヌエル・マルケスとリング上の性格が似ているラファエル・マルケスですが、得意とするボクシングはちょっと違います。兄のファン・マヌエル・マルケスが「連打型のKOアーティスト」であるのに対して、弟のラファエル・マルケスは一撃で試合の流れを変えるパワーとタイミングを兼ね備えた「ワンパンチKOアーティスト」です。
また、兄のファン・マヌエル・マルケスが前進しても後退して戦える万能型のボクサーであるのに対して、弟のラファエル・マルケスは「前に出ると強いけど、下がってディフェンスを強いられるとモロい一面」を見せてしまうことがあります。兄のファン・マヌエル・マルケスが攻防兼備のボクサーなら、弟のラファエル・マルケスはより攻撃型なボクサーだと思います。
好戦的なラファエル・マルケスがプロデビューを果たしたのは1995年9月。デビュー戦で元世界チャンピオンのビクトル・ラバナレスと対戦し、結果は8ラウンドKO負けの黒星スタート。ちなみに、兄のファン・マヌエル・マルケスもデビュー戦で黒星を喫しています。
プロ初戦が黒星となったラファエル・マルケスですが、その後は実戦を重ねながら着実に実力をつけ、迎えた2003年2月、ティム・オースティンが持つIBF世界バンタム級タイトルに挑戦。8ラウンドTKO勝ちで初の世界タイトル奪取に成功します。
その後、4年間で7度の防衛に成功したラファエル・マルケスは2007年3月、2階級制覇に挑戦。対戦相手は、のちに「宿命のライバル」と呼ばれるWBC世界スーパーバンタム級チャンピオンのイスラエル・バスケスです。
試合は、初回にラファエル・マルケスのアッパーでイスラエル・バスケスが鼻を骨折する壮絶な立ち上がり。3ラウンドにはイスラエル・バスケスがラファエル・マルケスからダウンを奪い、反撃を開始する一進一退の攻防となります。
ボクシングの歴史に残る名勝負は、お互いのプライドがぶつかり合う凄まじい打撃戦が展開されますが、鼻を骨折したイスラエル・バスケスが試合続行不可能となり、ラファエル・マルケスが7ラウンドTKO勝ちで2階級制覇を達成します。
世界中のボクシングファンが熱狂した好カードはすぐに再戦が決定し、2007年8月、ラファエル・マルケスは初防衛戦で再びイスラエル・バスケスと拳を交えます。試合は初戦と同じく激しい打撃戦となりますが、結果は初戦と正反対の6ラウンドTKO負けで王座を失ってしまいます。
敗れはしましたが、世界中のボクシングファンを虜にしたラファエル・マルケスは2008年3月、奪われたタイトルを奪還するため、チャンピンと挑戦者の立場を入れ替えてイスラエル・バスケスと激突。世論が「名勝負の実現」を後押しした「禁断の世界タイトルマッチ3連戦」です。
1勝1敗で迎えたラファエル・マルケスとイスラエル・バスケスのラバーマッチは、またしてもダウン応酬の激しい打撃戦となります。一進一退の攻防が続き、迎えた最終ラウンド。ラファエル・マルケスはダウンを奪われてしまいます。
結果は僅差の判定負け。タイトル奪取に失敗し、イスラエル・バスケスとの3連戦で深いダメージを負ったラファエル・マルケスはその後ダメージを抜くため、1年以上の休養を余儀なくされます。
2009年5月、リングに戻ってきたラファエル・マルケスはホセ・フランシスコ・メンドサに3ラウンドKO勝ち。1年2か月ぶりの再起戦に勝利すると、2010年5月「因縁のライバル」イスラエル・バスケスと決着をつけるため、4度目の舞台に上がります。
ラファエル・マルケスの1勝2敗で迎えた4度目の対決は、3ラウンドにダウンを奪ったラファエル・マルケスが一気にイスラエル・バスケスを追い詰め、3ラウンドTKO勝ち。ラファエル・マルケスとイスラエル・バスケスの4度目のメキシカン対決はラファエル・マルケスの圧勝に終わり、通算対戦成績は2勝2敗の五分になりました。
「因縁のライバル」を打ち破り、勢いに乗るラファエル・マルケスは3階級制覇をかけて全勝チャンピオンのファン・マヌエル・ロペスと激突。試合は序盤から一進一退の打撃戦となりますが、8ラウンド終了後、ラファエル・マルケスが右肩の負傷を訴えて試合を棄権し、3階級制覇は夢と終わります。
王座奪還に燃えるラファエル・マルケスは2011年10月、西岡利晃選手が持つWBC世界スーパーバンタム級タイトルに挑戦。しかし、西岡利晃選手のフットワークとサウスポーの特徴を生かしたボクシングに持ち味を消され、結果は12ラウンド判定負け。世界チャンピオンの返り咲くことはできませんでした。
3階級制覇の夢をあきらめないラファエル・マルケスは2012年10月、世界戦の足がかりとして同じメキシコ人のクリスチャン・ミハレスと対戦。序盤から攻勢を仕掛けたラファエル・マルケスですが、結果は無念の9ラウンドTKO負け。激しい打ち合いを制することはできず、また一歩、世界戦が遠のいてしまいました。
真っ向から打ち合うボクシングを好み、世界中のボクシングファンを熱狂の渦に包みこむラファエル・マルケス。激闘の代償とも言えるダメージの蓄積により、全盛期のスピードとスタミナ、耐久力は失われたかもしれませんが、対戦相手を打ち倒そうとする闘志は衰えることを知りません。
メキシコ史上最強の兄弟ボクサーとしてボクシングの歴史に輝くラファエル・マルケスは自らの拳で3階級制覇、王座返り咲きの夢をかなえることができるでしょうか?数々の激闘をくぐり抜けてきた誇り高きメキシカンの最終章に注目です。
ラファエル・マルケスが出場した試合観戦レビュー
2012/12/10 | ラファエル・マルケス対ミハレスのメキシカン対決 |
2011/10/02 | 試練の防衛戦!西岡利晃がラファエル・マルケスと激突 |
2010/11/09 | 強打者対決!ファン・マヌエル・ロペス対マルケス弟 |
2010/05/26 | 4度目の死闘!イスラエル・バスケス対ラファエル・マルケス |
2009/05/30 | ラファエル・マルケスがホセ・フランシスコ・メンドサと対戦 |
2008/04/09 | イスラエル・バスケス対ラファエル・マルケスのラバーマッチ |
ラファエル・マルケスのプロフィール
本名 | ラファエル・マルケス・メンデス |
誕生日 | 1975年3月25日 |
戦績 | 49戦41勝37KO8敗 |
獲得タイトル |
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