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アントニオ・マルガリート(後編)

激闘を重ねて世界的な名声と人気を手にした「ティファナの竜巻」

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ポール・ウィリアムスに僅差の判定で敗れたアントニオ・マルガリートですが、わずか4ヶ月で再起。ゴールデン・ジョンソン相手に1ラウンドTKO勝ちを収め、最高の形で「マルガリート健在」をアピールします。

ウィリアムス戦の敗戦で、これまで約5年に渡りチャンピオンに君臨し続けたマルガリートが無冠となり、どの団体の世界チャンピオンに挑戦するのか、ボクシングファンが注目する中、「キラー」の異名を持つ因縁のボクサーがマルガリートに挑戦状を叩きつけたのです。

IBF世界ウェルター級チャンピオン、カーミット・シントロン。30戦29勝27KO1敗の輝かしいレコードを持つプエルトリコ出身のハードパンチャーが、プロのリングで唯一黒星を喫した相手、マルガリートへのリベンジを熱望し、因縁の再戦が実現。しかし、壮絶な打撃戦の末、再びリングに沈んだのはチャンピオンのシントロンでした

「シントロンはマルガリートと何回戦っても勝つことができない」。そう思える試合内容でした。簡単に言うと、シントロンにとってマルガリートは相性の悪いボクサーだからです。最悪と言ってもいいかもしれません。シントロンは打たれ強いボクサーでも、スタミナのあるボクサーでもありませんが、ずば抜けた攻撃力を持っています。シントロンの強打をまともにもらって、立っていられるボクサーはほとんどいないでしょう。

これまでの対戦相手、つまり、マルガリート以外の対戦相手はいずれもシントロンの強打の前に敗れ去ったのですが、マルガリートはシントロンの強打に耐え、なおかつ前へ出て反撃してきます。

しかも、手数が多い。「シントロンの強打に耐え、スタミナが切れたところを連打で仕留める」。何度戦っても、同じような展開で、マルガリートがシントロンに勝つでしょう。タフネス、スタミナ、手数のすべてを持ち合わせているマルガリートだからできる戦い方で、この戦い方こそマルガリートの真骨頂です。

シントロン戦の快勝後、世界中のボクシングファンが待ちわびた屈指の好カードが発表されました。WBA世界ウェルター級チャンピオンのミゲール・コットと拳を交えることになったのです。2008年最高のカードが実現したのですが、コットの大ファンである管理人にとってはちょっと複雑。いくらコットが強いとは言え、冷静に考えると、やはりマルガリートは脅威のボクサーです。

そして、試合前の不安が現実のものとなります。結果は壮絶な死闘の末、マルガリートが「ウェルター級最強」の呼び声が高いコットに11ラウンドTKO勝ちを収め、「ウェルター級最強」の称号を手に入れたのです。

この試合のコットは力の限り戦った印象で、誇り高く、素晴らしかったです。しかし、それ以上にマルガリートの素晴らしさが際立っていました。ボクシング専門誌、「リングマガジン」の言葉を借りると、コット戦の勝利でマルガリートは、マルコ・アントニオ・バレラエリック・モラレスに並ぶ名誉と評価を手に入れたと思います。世界中のボクシング関係者、ボクシングファンが改めてマルガリートの強さに敬服した瞬間でした。

この勝利を機に、マルガリートの元へ連続でビッグマッチが舞い込んできます。「いよいよマルガリート時代の到来か?」と思ったボクシングファンは管理人だけではないでしょう。しかし、この後、マルガリートを待ち構えていたのは大きな試練でした。

2009年1月、マルガリートはコットから奪取した世界タイトルの初防衛戦でシェーン・モズリーと激突します。接戦が予想された試合でしたが、結果はスピードで圧倒するモズリーにパンチを打たれ続け、マルガリートの9ラウンドTKO負けで王座陥落。一方的に打ちのめされたマルガリートの姿に言葉を失った試合でした。

再起をかけるマルガリートは2010年11月、空位のWBC世界スーパーウェルター級タイトルをかけてマニー・パッキャオと激突。世界中のボクシングファンが注目したビッグマッチでしたが、結果はパッキャオに12ラウンド大差の判定負けで世界タイトルマッチ2連敗。スピードで上回るパッキャオのボクシングに圧倒された試合でした。

2011年12月には、ミゲール・コットの持つWBA世界スーパーウェルター級タイトルに挑戦。因縁の再戦で存在感をアピールしたいマルガリートでしたが、結果はマルガリートの9ラウンド終了TKO負け。久しぶりにマルガリートらしさが出た試合でしたが、ミゲール・コットのテクニックとスピードに敗れ去った内容でした。

デビューから12戦で3敗を喫したマルガリート。スーパースターの陰で注目されることがなかったボクサーは、実戦を重ねながら着実に階段を駆け上がり、デビューから14年後、スーパースターの仲間入りを果たしました。「あきらめない、逃げない、真っ向から勝負する」。最もタフなボクサーが貫くボクシングの原点こそ、世界中のボクシングファンのハートを揺さぶるボクサーの姿なのかもしれません。

アントニオ・マルガリートのプロフィール

本名 アントニオ・マルガリート・モンティエール
誕生日 1978年3月18日
ニックネーム ティファナの竜巻
戦績 47戦38勝27KO8敗1無効試合
獲得タイトル
  • WBO世界ウェルター級タイトル
  • IBF世界ウェルター級タイトル
  • WBA世界ウェルター級タイトル
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